セッション情報 |
パネルディスカッション17(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
進行肝細胞癌治療におけるcontroversy (手術・Sorafenib・動注・粒子線治療、いずれが主役となるべきか?)
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タイトル |
消PD17-2:高度脈管侵襲陽性肝細胞癌に対する積極的肝切除と術後短期間肝動注療法
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演者 |
別府 透(熊本大大学院・消化器外科学DELIMITER熊本大附属病院・消化器癌集学的治療学) |
共同演者 |
新田 英利(熊本大大学院・消化器外科学), 馬場 秀夫(熊本大大学院・消化器外科学) |
抄録 |
【目的】術前診断可能な高度脈管侵襲(Vp2 or Vv2 or B2以上)を有する進行肝細胞癌に対する肝切除術と補助肝動注療法 (HAI)の安全性と再発抑制効果、長期予後を検討した。さらにソラフィニブを含む集学的治療後の肝切除例を呈示する。【対象】2011年までに肝切除を施行した肝細胞癌539例中、脈管侵襲陽性73例 を対象とし、肝切除+HAIを施行した38例(A群)と肝切除単独の35例(B群)に分けて検討した。2007年までの前期はlow dose FP療法を3コース、それ以降の後期はFPの肝動注とMMC/spherex投与を2コース行った。【結果】1. A群で年齢が若い (62歳 vs. 66歳)以外、両群の背景因子に差はなかった。2. 92%でHAIを完遂可能であった。3. 前期と後期の無再発生存率 (DFS)と累積生存率 (OS)に差はなかった。4. 5年DFSはA群33.8%、B群11.8% (P = 0.029)とA群で有意に良好、5年OSはA群46.7%、B群32.7% (P =0.318)と有意差はなかった。多変量解析ではHAIはDFSの独立規定因子であった (ハザード比0.536、P=0.029)、5. Vv3、Vp3以上の32例に限ると、3年DFS はA群33.7%、B群8.3%(P= 0.049)、3年OSはA群55.8%、B群12.0%(P=0.023)といずれもA群で有意に良好であったが、Vv2、Vp2以下の症例では差を認めなかった。6.肝切除後の合併症率は同等で、A群でHAI後の肝動脈閉塞を1例にのみ認めた。7. ソラフィニブ投与25例の切除不能肝細胞癌中、4例で外科治療が可能となった。横隔膜を超えるVv3肝細胞癌に対する化学放射線療法、ソラフィニブの術前後投与、拡大後区域切除により1年半の無再発生存を得ている。【まとめ】予防的肝動注療法は、高度脈管侵襲陽性肝細胞癌の肝切除後の無再発生存を改善する。Vp3,Vv3以上の症例に限定すると長期予後も改善する可能性がある。さらに切除不能例ではソラフィニブ、肝切除を含めた集学的治療による予後改善が期待される。 |
索引用語 |
脈管侵襲陽性肝細胞癌, 肝動注療法 |