セッション情報 パネルディスカッション17(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

進行肝細胞癌治療におけるcontroversy (手術・Sorafenib・動注・粒子線治療、いずれが主役となるべきか?)

タイトル 消PD17-3:

集学的治療としての進行肝癌術後Systemic IFN+low-dose FP療法

演者 居村 暁(徳島大・外科)
共同演者 淺野間 理仁(徳島大・外科), 金本 真美(徳島大・外科)
抄録 【はじめに】肝癌術後補助療法には再発を抑制すると報告されているものもあるが推奨レベルではない(診療ガイドライン2009)。肉眼的Vpを有する進行肝癌に対する明確な治療指針もない。今回、肉眼的Vp陽性肝癌に対するソラフェニブの効果と手術+IFN併用全身化学療法(IFP)の有用性を検討、進行肝癌の治療戦略を提案する。【方法】1.ソラフェニブの効果:投与症例20例(うち肉眼的Vp(+)5例)の治療効果。2.基礎的検討:マウス肝癌細胞(MH134)に対するIFNαの腫瘍細胞増殖、浸潤抑制、血管新生因子発現抑制効果を検討。IFNαの皮下腫瘍モデルでの腫瘍増殖抑制効果および脾注肝転移モデルでの転移抑制効果を検討する。3.Vp>2の肝癌31例をIFP群15例、非施行群16例に分け予後、再発形式につき検討。IFP療法は早期から開始し4週間行う。【結果】1.SD、PR例はVp<1では47%、Vp>2では20%であった。全体の生存率は1年79%であったが、Vp>2症例では60%とVp<1の85%と比べ有意に不良であった。2.MH134細胞はIFNにより増殖、浸潤能が抑制された。皮下モデルにおいて増殖を抑制し、肝転移モデルでは転移個数減少した。3.手術-IFP療法開始まで平均31日。累積生存率はIFP群が非施行群より良好であった(1年:100% vs 38%、3年: 69% vs 25%、5年:57% vs 19%、p<0.01)。無再発生存率もIFP群が非施行群より良好であった(1年: 33% vs 25%、3年: 33% vs 19%、p<0.01)。再発形式は非施行群では全て残肝多発、遠隔再発といった制御不能な再発で、IFP群では再発10例中4例は残肝単発再発であり局所治療が可能であった。非施行群の手術-再発の期間は78日(中央値)。【まとめ】肉眼的Vpを伴う進行肝癌に対するソラフェニブの効果は期待できない。一方、進行肝癌術後のIFP療法は制御不能な再発を抑制し進行肝癌の予後を改善する可能性があり、集学的治療が進行肝癌に対する治療の主役となりうる。
索引用語 肝細胞癌, 進行肝癌