セッション情報 |
パネルディスカッション17(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
進行肝細胞癌治療におけるcontroversy (手術・Sorafenib・動注・粒子線治療、いずれが主役となるべきか?)
|
タイトル |
外PD17-4:UICC T3肝細胞癌症例の臨床病理学的検討
|
演者 |
落合 登志哉(京都府立医大・消化器外科) |
共同演者 |
生駒 久視(京都府立医大・消化器外科), 大辻 英吾(京都府立医大・消化器外科) |
抄録 |
【目的】UICCの肝細胞癌T3症例は最大径5cmをこえる多発腫瘍、または門脈または肝静脈の大分枝に浸潤した腫瘍と定義され、肝癌取扱規約T3症例に比べ、腫瘍最大径5cmや肉眼的腫瘍栓の存在を定義する等格段に治療の困難な病態である。一次分枝以上の腫瘍栓がある場合、肝癌取扱規約では「完全に除去できても治癒度Cとする。」とされる。今回UICC T3症例切除の意義を明らかにする。【対象・方法】2011年8月までの間に当科で肉眼的に取り残しなく初回切除した421例のHCCの内訳はUICC T3症例(n=44)、T2症例(n=120)、T1症例(n=257)であった。これらを対象に以下の項目を検討した。1)各群の臨床病理学的特徴2)T3症例の予後因子【結果】T3群はT2,1群に比べ、宿主因子で有意に男性、手術時年齢が若く、HBsAg陽性、HCV陰性、非硬変、血小板数が多く、ICG15分値が低かった。腫瘍因子は定義に従って有意に腫瘍径、組織学的脈管侵襲・肝内転移が多いがその他、AFP値、1亜区域を越えて存在する症例が多く、肉眼分類で単純結節型・単純結節周囲増殖型が少なかった。治療因子で有意に術前TAE・葉切除以上の肝切除施行例、治癒度B、C、術中出血が多く、手術時間は長かった。2000年以降の症例に限ればT3症例は術後在院期間が長く、合併症も多い傾向であった。5年生存/無再発生存率はT3、2、1群それぞれ、31.6/20.3、50.1/20.4、79.0/44.4%でT3症例の再発形式は早期の肝内びまん・他臓器再発が有意に多かった。T3症例の生存/無再発の有意な危険因子はそれぞれ年齢60歳未満、HCV陰性、大分枝脈管侵襲あり/血清アルブミン値3.5g/dL以下であった。【まとめ】UICC T3 HCC切除後の生存はT2と変わらず、肉眼的に取り残しのない切除は予後に寄与し、可能な限り手術すべきであるが再発形式が切除後の予後を規定しているため積極的に切除後再発抑制治療を行うべきである。 |
索引用語 |
肝細胞癌, T3 |