セッション情報 |
パネルディスカッション17(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
進行肝細胞癌治療におけるcontroversy (手術・Sorafenib・動注・粒子線治療、いずれが主役となるべきか?)
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タイトル |
肝PD17-5:進行肝細胞癌に対するcancer freeを目的とした肝動注化学療法
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演者 |
永松 洋明(公立八女総合病院・内科) |
共同演者 |
鳥村 拓司(久留米大・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】進行肝細胞癌(HCC)は一般に根治治療が困難とされている。当院では進行HCCに対してもcancer freeを目標に肝動注化学療法(HAIC)を用いた治療を中心に行っており、その治療成績をretrospectiveに検討した。【対象】2003年6月から2011年12月の期間当院にてHAICを行ったHCC症例197例のうちStage IV-BとChild Pugh C症例を除いた160例(平均年齢70.2歳、Child Pugh A/B:93/67、Stage III/IV-A:67/93例、Regimen Low dose FP(LFP)/New FP(NFP)/その他:78/74/8例)を対象とした。【方法】160例全例に埋め込みリザーバーよりHAICを行い、PR以上が得られた症例では、積極的に肝切除やTACEなどの追加治療を行いリザーバーを抜去した。160例のHAIC開始後累積生存期間(OS)をKaplan-Meier法で示し、OSに関連する因子をCox回帰分析で検索した。累積生存に関連する因子別にOSを示しLog Rank検定で比較検討を行った。【結果】全体のHAIC開始後のOSは中央値(MST)で16カ月、OSに関連する因子としては、治療後Child Pugh score、動注効果、cancer freeがみられた( P<0.001)。肝機能別ではChild Pugh A/B:21/14カ月(P=0.001)、regimen別ではLFP/NFP/その他:14/27/9カ月(P=0.001)であった。動注効果はCR/PR/SD/PD=18/76/45/21例、奏効率は58.8%、効果別MSTはCR/PR/SD/PD:34/24/11/9カ月(P<0.001)、cancer freeが得られたのは57例(35.6%)でMSTは33カ月であった。【結論】進行HCCに対するHAICにおいて肝機能良好で動注効果がみられると良好な成績が得られた。さらに治療効果が得られた場合、積極的にcancer freeとすることで肝機能や肝動脈が保持され長期生存に寄与すると考えられる。ソラフェニブは癌を悪化させないことで予後を延長させる治療であるが、HAICはcancer freeを目的とすることができるため患者も治癒の希望を持つことができる。進行HCCに対してはHAIC(NFP)を中心に治療を開始し、早期に効果判定を行い、効果がなければ他治療への変更を検討することが勧められる。 |
索引用語 |
進行肝細胞癌, 肝動注化学療法 |