セッション情報 | パネルディスカッション17(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)進行肝細胞癌治療におけるcontroversy (手術・Sorafenib・動注・粒子線治療、いずれが主役となるべきか?) |
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タイトル | 消PD17-6:動注とSorafenibの使い分けを探る |
演者 | 小尾 俊太郎(杏雲堂病院・消化器肝臓内科) |
共同演者 | 佐藤 新平(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 佐藤 隆久(杏雲堂病院・消化器肝臓内科) |
抄録 | 【目的】進行肝細胞癌治療、特に動注化学療法とSorafenibの使い分けを探るため、それぞれの治療成績を検討して、議論の叩き台とする。 【方法】動注化学療法:当院でIFN併用5FU動注化学療法を施行した845例を解析の対象とした。1コースは4週間、前半2週間はIFNと5FUの併用、後半2週間はIFNのみとした。コース毎に腫瘍マーカー、少なくとも2コースに1回は画像評価を行った。治療効果はRECISTに準じた。Sorafenib:当院で導入した78例を解析した。開始量は2010年より他の試験に登録された症例は800mg開始, その他は400mg開始, PS2の症例は200mg開始とした。患者教育や予防で副作用対策を行い、服薬量は適宜増減した。生存率はKaplan-Meier法で算出した。予後因子解析は、Cox比例ハザードモデルを用いた。効果予測因子解析は、ロジスティック回帰を用いた。 【結果】動注化学療法:解析対象845例, Child-Pugh A 477, B 350, C 18例であった。門脈腫瘍浸潤を75%, 肝静脈浸潤を8%, 遠隔転移を12%に認めた。全体のMSTは6.5か月Child-Pugh A は、8.8か月であった。治療効果は、CR86例, PR188例, SD214例, PD357例であった。予後規定因子は、T.Bil, Alb, GOT, AFP, DCP, C型, 遠隔転移, 腹水が抽出された。奏効に対する効果予測因子は、Vp, 転移, 腹水, T.Bil, GOT, 血小板が抽出された。Sorafenib:対象は78例。門脈浸潤46%, 遠隔転移40%であった。MSTは210日, TTPは102日であった。MST, TTPともに800mg, 400mg開始群間に統計学的有意差を認めなかった。治療効果は、PR3例, SD22例, PD46例であった。予後規定因子は、単変量でT.Bil, 腫瘍型, Vp, AFP, AFP-L3が抽出された。これらを多変量解析した結果、腫瘍型(diffuse)が抽出された。治療効果(PR+SD)に対する効果予測因子は、単変量解析でT.Bilのみが抽出された。 【結論】門脈浸潤は、Sorafenibの予後規定因子であるが、動注の効果予測因子である。遠隔転移は、動注の予後規定因子であるが、Sorafenibの予後規定因子ではない。よって門脈浸潤には動注が、遠隔転移にはSorafenibが推奨される。 |
索引用語 | 肝細胞癌, 化学療法 |