セッション情報 |
パネルディスカッション17(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
進行肝細胞癌治療におけるcontroversy (手術・Sorafenib・動注・粒子線治療、いずれが主役となるべきか?)
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タイトル |
肝PD17-7:進行肝細胞癌に対するsorafenib療法と肝動注化学療法の病期別治療成績
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演者 |
中馬 誠(北海道大大学院・消化器内科学) |
共同演者 |
中西 満(北海道大大学院・消化器内科学), 山本 義也(市立函館病院・消化器病センター消化器内科) |
抄録 |
【目的】進行肝細胞癌に対してsorafenibの有用性が報告されているが、予後はいまだ厳しく、病期別に応じて他の治療法との比較検討が必要である。今回進行肝細胞癌におけるsorafenib治療と肝動注療法の病期別治療成績を比較した。【対象と方法】2004年1月から2011年10月までに当科関連施設において進行肝細胞癌 (stage III, IV) に対して、肝動注療法を施行後 sorafenibの内服が行われなかった75例(H群)とsorafenibが投与された81例(S群)を対象とし、両群における病期別の1)治療効果、2)生存率を検討した。【成績】背景因子として、年齢、性、主病巣の大きさでは、両群間に有意差はなかった。肝予備能では、S群が良好であり(Child-Pugh A/B;56/19:75/6, P< 0.01)、stageについては、H群;III/IVA/IVB;10/53/12例、S群;III/IVA/IVB; 24/22/35例であった。1) 6週後RECICT評価での奏功率は、H群32%, S群3.7% (P<0.01)であったが、病勢制御率(CR+PR+SD)は、H群 62.6%、S群51.9%(P= 0.18)であった。病期別の病勢制御率は、H群 vs S群:stage III;70.0% vs 83.3%(P= 0.38)、stage IVA;65.6% vs 36.3% (P= 0.018)、stage IVB;33.3% vs 46.3%(P= 0.45)であり、stage IVAではH群が良好であった。2) 全体の生存期間(MST)は、H群/S群 10.9/10.2ヶ月であった。病期別のMSTについては、stage III:H群/S群;17.8/16.5ヶ月(P= 0.54)、stage IVA:H群/S群;10.4/6.0ヶ月(P= 0.031)、stage IVB:H群/S群;6.2/9.8ヶ月(P= 0.044)、stage IVAに関してはH群、stage IVBではS群が良好であったが、stage IVBのS群で門脈腫瘍栓(VP)有/無のMSTは4.8/11.6ヶ月であった。【考案/結語】sorafenib療法が適応と考えられている進行肝細胞癌において、病勢制御、生命予後の面よりstage IVAでは肝動注療法の方がsorafenibより有効であることが示唆された。またVPを伴わないstage IVBではsorafenib治療が有効と考えられたが、stage IVBのVP症例は更なる治療法の改善が望まれる。 |
索引用語 |
肝細胞癌, sorafenib |