セッション情報 パネルディスカッション17(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

進行肝細胞癌治療におけるcontroversy (手術・Sorafenib・動注・粒子線治療、いずれが主役となるべきか?)

タイトル 肝PD17-9:

進行肝細胞癌に対する肝動注/全身化学療法の成績と不応例に対するソラフェニブの成績

演者 相方 浩(広島大病院・消化器・代謝内科)
共同演者 宮木 大輔(広島大病院・消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大病院・消化器・代謝内科)
抄録 【背景・目的】当科では,脈管侵襲陽性あるいはTACE不応の進行肝細胞癌(肝癌)に対して肝動注化学療法(HAIC: low dose FP, IFN/5FU)を,肝外転移合併肝癌のうち,主に肝内制御例に対してS1をbaseとした全身化学療法(S1 based chemo: S1/IFN, S1/CDDP)を1st lineとして行い,ソラフェニブは主にこれら化学療法不応例に対して行ってきた.今回,当科の肝動注/全身化学療法と化学療法不応例に対するソラフェニブの成績を解析した.【対象・方法】1) 対象は,経過中ソラフェニブ治療を行わなかったHAIC 265例,S1 based chemo76例(重複有り).HAICは,IFN/5FU:FP=156:109例,Child A/B/C:180/79/6例.Stage II/III/IVA/IVB:6/47/152/60例.Vp3/4:72/73例.S1 based chemoは,S1/IFN:S1/CDDP=46:30例.2) これまでのソラフェニブ89例中,化学療法不応例に施行した38例(HAIC先行24例,S1 chemo先行 14例).【成績】1) HAICの奏功率26.7%,MST 7.3カ月.奏功別MST: CR/PR 18.6,SD 8.1,PD3.4ヶ月.生存に寄与する独立因子は,Child A, AFP<1000,腫瘍占拠率<50%, 肝外転移なし, PS0,HCV抗体陽性.転移非合併例の奏功率/奏功例MSTは,Child A 31.6%/23.3ヶ月,Child B 22.6%/10.7ヶ月.2) S1 based chemoの奏功率14.4%,MST11.1ヶ月.奏功別MST: CR/PR41.5, SD21.4,PD7.1ヶ月.奏功に寄与する独立因子は,T因子0/1(OR5.98, p=0.014). 3) HAIC不応例に対するソラフェニブのHAIC導入後MST20.2ヶ月,ソラフェニブ切り替え後8.5ヶ月.奏功別MST: CR/PR/SD/PD:38.3/22.5/20.2/11.0ヶ月.S1 base chemo不応例に対するソラフェニブ切り替え後MST20.7ヶ月.【結語】HAIC奏功例および肝内制御された肝外転移合併例に対するS1 based chemo奏功例の予後は良好であり,また,これらの化学療法不応例に対するソラフェニブへの切り替えは,予後を改善する可能性がある.
索引用語 肝細胞癌, 化学療法