セッション情報 パネルディスカッション18(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

小腸疾患に対する診断治療の現況と今後の展望

タイトル 消PD18-3:

小腸NSAIDs潰瘍の診断における緊急小腸内視鏡検査の役割と有用性

演者 李 兆亮(宝塚市立病院・消化器内科)
共同演者 金 庸民(宝塚市立病院・消化器内科), 阿部 孝(宝塚市立病院・消化器内科)
抄録 【目的】地方公立病院である当院は2010年に消化器内視鏡センターを開設し、地域医療機関からのホットラインを導入することで24時間体制での消化管出血の診療を可能とした。その中で緊急内視鏡を行うもOGIBと診断される症例も多い。今回我々はOGIB、特に小腸NSAIDs潰瘍における緊急小腸内視鏡検査の役割やその有用性について検討した。【方法】2010年4月1日から2012年2月29日までにOGIBと考えられた154症例(男95例、女性59例、平均年齢64.3歳)対して施行した小腸内視鏡検査を解析した。【成績】内訳は顕性持続性出血【A】37例24.0%、顕性既往出血【B】70例45.5%、潜血【C】47例:30.5%であり、有所見率は86例(【A】33/37例88.6%、【B】28/70例40.0%、【C】25/47例53.2%)であった。疾患別ではNSAIDs潰瘍:16例、angiodysplasia:8例、メッケル憩室:4例、小腸癌:4例、クローン病:2例、その他小腸病変:10例、小腸外病変:42例であった。特徴としてはangiodysplasiaとメッケル憩室は【A】【B】の顕性出血に多く、小腸外病変は大腸憩室出血が多かった。特にNSAIDs潰瘍は【A】【B】【C】いずれの分類にも均一に認めたが、その発生部位(空腸または回腸)や潰瘍型(輪状潰瘍、多発潰瘍など)もさまざまであった。緊急CEとなった症例は52例あり、NSAIDs潰瘍9例、anigodysplasia7例、その他(大腸憩室出血など)36例であった。CEで有所見と診断した症例の中で、ダブルバルーン内視鏡検査(DBE)を施行した症例は24/29例(82.6%)で有所見であったのに対し,CEを施行せずに直接DBEを施行した症例は3/5(60.0%)で有所見であった。【結論】1. NSAIDs潰瘍は顕性出血として認められる場合があり、緊急小腸内視鏡が有用であった。2.顕性出血の症例ではCEで出血源の特定が可能であり、バルーン内視鏡検査(BAE)と併用することによりOGIBの診断率向上が示唆された。
索引用語 緊急内視鏡, OGIB