セッション情報 パネルディスカッション18(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

小腸疾患に対する診断治療の現況と今後の展望

タイトル 消PD18-5:

NSAIDs常用者における小腸粘膜傷害に対するマレイン酸イルソグラジンの治療効果についての無作為比較試験

演者 磯村 好洋(東京大・消化器内科)
共同演者 山地 裕(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】NSAIDsによる消化管粘膜障害は胃・十二指腸だけでなく、小腸でも比較的高率に惹起されることが報告され、その予防・治療法の確立が求められている。今回、カプセル内視鏡を用いてNSAIDs常用者における小腸粘膜傷害を調べるとともに、マレイン酸イルソグラジンによる小腸粘膜傷害治療効果を評価するための無作為比較試験を実施した。【方法】NSAIDs(COX2選択的阻害剤を除く)を継続して4週間以上内服している患者を対象とした。2種類以上のNSAIDs併用、低用量アスピリン、プロスタグランジン製剤、ステロイド剤、抗血小板薬、抗凝固薬を使用中の患者は除外した。プロトンポンプ阻害剤やH2受容体拮抗剤などの制酸剤、レバミピドやテプレノンなどの防御因子増強薬を使用中の患者は対象に含め、試験中も投与を継続した。はじめにカプセル内視鏡検査(CE)を行い、小腸粘膜傷害を評価した。小腸粘膜障害を有した患者をマレイン酸イルソグラジン投与群と非投与群に無作為に割り付け、1ヶ月後にCEを再検し、病変の改善率を両群で比較した。【成績】35~80歳までの計60例のNSAIDs常用者に対しCEを施行し、39例(65.0%)において発赤斑や潰瘍などの何らかの小腸粘膜傷害を認めた。胃薬併用者48例 (プロトンポンプ阻害剤9例、H2受容体拮抗薬3例、レバミピド26例、テプレノン11例、ソファルコン3例、併用4例)の有病率は64.6%(31/48)であったのに対し、胃薬非併用者の有病率も63.6%(7/11)と有意差を認めなかった。現在までのところCE2回目拒否の1例を除く38例に対して無作為化が行われ、マレイン酸イルソグラジン投与群(n=19)と非投与群(n=19)に割り付けられた。【結論】NSAIDsにより高率に小腸粘膜傷害が惹起される。無作為割付比較試験の目標症例数は各群20名ずつの計40名と設定しており、演題発表の際に結果についてご報告できると考えている。
索引用語 NSAIDs, カプセル内視鏡