セッション情報 パネルディスカッション18(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

小腸疾患に対する診断治療の現況と今後の展望

タイトル 内PD18-6:

カプセル内視鏡による低用量アスピリン内服患者の小腸病変サーベイランス

演者 中野 雅(北里大北里研究所病院・消化器内科)
共同演者 細江 直樹(慶應義塾大・内視鏡センター), 緒方 晴彦(慶應義塾大・内視鏡センター)
抄録 [背景、目的]低容量アスピリン(LDA :Low Dose Aspirin)は、世界中で広く使用され、心血管系イベントの抑制効果が証明されている薬剤である。その有効性とは反対に上部消化管粘膜障害を惹起する薬剤として知られており、その頻度や予防についての大規模臨床試験などが報告されている。LDAの小腸粘膜障害については不明であったが、近年、小腸用カプセル内視鏡(VCE:Video Capsule Endoscopy)やダブルバルーン内視鏡(DBE:Double-Balloon Endoscopy)の実用化により、これまで“暗黒大陸”であった小腸が観察できるようになり、LDAの小腸粘膜障害についての報告がされてきている。これらの報告は、対象としている症お例数が10~20程度と少数であり、その結果にばらつきがみられる。そこで今回、LDA内服患者における小腸粘膜障害の頻度、程度を、カプセル内視鏡を使用し、評価することを目的とした。[方法]慶應義塾大学医学部消化器内科、東京都済生会中央病院、けいゆう病院、日本鋼管病院、東京歯科大学市川総合病院、横浜市民病院、北里研究所病院で試験を行う。LDAを1カ月以上内服している患者100人に対してVCEを施行する。また同時に、便潜血検査、採血(Hb、フェリチン、Fe、TIBC)を行う。LDA内服患者の小腸疾患の有病率、病変の種類、病変の種類と採血結果(血清ヘモグロビン、フェリチン)との関連、LDA内服患者における便潜血検査結果と小腸カプセル内視鏡所見の相関を検討する。[結果] 現在進行中の試験であり、現在40例の症例組み入れを終了、34例のカプセル内視鏡を施行した。34例中、28例で低用量アスピリン腸溶錠、6例で緩衝剤配合錠が使用されていた。カプセル内視鏡に起因する有害事象を認めず、34例中23例(67.6%)で小腸に微小なびらんを認めた。狭窄病変は認めなかった。[結論] 67.6%と高率で小腸に微小なびらんを認めた。発表当日には、採血、便潜血結果も含めた解析を報告する。
索引用語 カプセル内視鏡, 低用量アスピリン