セッション情報 |
パネルディスカッション18(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
小腸疾患に対する診断治療の現況と今後の展望
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タイトル |
内PD18-7:小腸の炎症性病変に対する色素併用カプセル内視鏡の有用性:術直後クローン病患者を対象とした前向き無作為交差試験
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演者 |
樋田 信幸(兵庫医大・内科(下部消化管科)) |
共同演者 |
河野 友彰(兵庫医大・内科(下部消化管科)), 松本 誉之(兵庫医大・内科(下部消化管科)) |
抄録 |
【目的】カプセル内視鏡(CE)は、小腸の炎症性病変を簡便かつ低侵襲に検出できるデバイスである。しかし、腸液が乏しい部位では小腸の絨毛構造がはっきり写らないこと、白色調の小腸粘膜と黄色の腸液とのコントラストが低いことなどから、軽微な炎症の視認が困難な場合がある。我々は、CEに色素を用いることにより小腸の炎症性病変の視認性が向上する可能性について、術直後のクローン病(CD)患者を対象とした前向き無作為交差試験で検証した。【方法】手術時に小腸病変の残存なしと判定された術後1ヶ月以内のCD患者19例を対象とした。先行する検査を通常CEまたは色素CEに無作為に割り付け、2週間以内にもう一方の方法で2回目のCEを行った。通常CEは、開始30分後より、Magnesium citrate等張液500mlを5回に分けて30分毎に服用させた。色素CEは、インジゴカルミン粉末50mgをMagnesium citrate等張液500mlに溶解させたもの同様の方法で服用させた。浮腫、潰瘍、狭窄はLewis score(LS)で、びらんは病変数で評価した。先行検査の読影を1名が行い、2回目の検査の読影は別の医師が先行する検査の情報を得ずに行った。【成績】19例中16例で交差試験を完遂した。Total LSは、通常CEで455.2±1024、色素CEで610±1227.5であり、色素CEが通常CEに比し有意に(p<0.001)病変を拾い上げた。浮腫のLSの最大分位値は、通常CEで72±81.3、色素CEで110.8±107.1であり、通常に比し色素CEのLSが高い傾向にあった(p=0.06)。潰瘍のLSの最大分位値は、通常CEで237.2±438、色素CEで296.3±424.9であり、通常に比し色素CEのLSが有意に高かった(p<0.05)。小腸びらん数は、通常CEで7.3±6.6個、色素CEで13.6±11.3個であった。【結論】色素CEは術直後CDに残存する小腸炎症性病変の描出に有用であった。色素を溶解した腸管洗浄液と小腸粘膜との明暗および色調コントラストが高くなることから絨毛の認識が容易になり、炎症性病変の視認性が向上する可能性が示唆された。 |
索引用語 |
カプセル内視鏡, クローン病 |