セッション情報 |
パネルディスカッション18(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
小腸疾患に対する診断治療の現況と今後の展望
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タイトル |
外PD18-9:術中Real-timeカプセル内視鏡を用いた小腸病変に対する低侵襲手術法の開発
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演者 |
山下 和城(川崎医大・消化器外科) |
共同演者 |
岡 保夫(川崎医大・消化器外科), 塩谷 昭子(川崎医大・消化管内科) |
抄録 |
【背景】小腸の出血・腫瘍性病変、特に小さい病変に対して手術を行うとき、病変は見つかるのか、小腸のどこにあるのか、1つだけなのかといった不安がある。こういった症例に対して従来は術中に小腸あるいは盲腸に小孔を開け、そこから大腸内視鏡を挿入して腸管内を観察していた。しかし、その方法では皮膚切開創が大きく、腸に小孔を開けることによる汚染、術後狭窄などのリスクもある。一方、カプセル内視鏡(CE)は小腸病変に対する低侵襲検査法として革命的ではあるが、CEの動きは腸管蠕動に支配され視野は不随意である。【目的】Real-time CEを用いることで術中の小腸病変の部位診断を低侵襲に行う。【方法】本法は当施設の倫理委員会にて承認を得、被験者からも承諾を得た。必要器具:一般のイレウス管と同構造で、より長く(4.5 m)、細く(3.3mm)、小さいバルーン(5ml)のチューブ(KY-tube)を作成した。KY-tubeが鼻から肛門まで全消化管を貫通した後、その先端にCEを連結させ、逆行性に消化管内をReal-timeで観察しながら手術を施行する。【結果】病変不詳の消化管出血例に対して臨床導入した。術前準備:術数日前にKY-tubeを経鼻的に挿入し、約2日後、肛門から排出された先端を肛門近くに固定した。これで全消化管内に1本のチューブが貫通した。術直前:排出されたKY-tube先端にCEを連結した。術中:助手がKY-tube鼻側端を引くことでKY-tube先端とCEが消化管内に引き込まれた。外科術者は小切開からKY-tube、CEを含んだ小腸を引き出し、モニターでCEが映し出すReal-time画像を見ながら病変部を同定した。約4cmの小切開で全小腸観察と病変部切除を完遂した。病変は1つでinflammatory fibroid tumorであった。【考察】鼻側端からKY-tubeをコントロールすることにより連結されたCEの映す視野を随意にできる。また、腸管内の腸液の吸引、送気操作によりよい鮮明な小腸内画像が得られピンポイントで病変部位を同定できる。 |
索引用語 |
カプセル内視鏡, 低侵襲 |