セッション情報 |
パネルディスカッション18(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
小腸疾患に対する診断治療の現況と今後の展望
|
タイトル |
消PD18-10:ダブルバルーン内視鏡深部挿入困難に関わる因子の検討
|
演者 |
中村 正直(The Wolfson Unit for Endoscopy, St Mark's Hospital and Academic Institute, Imperial College, London, United KingdomDELIMITER名古屋大大学院・消化器内科学) |
共同演者 |
後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学), C. Fraser(The Wolfson Unit for Endoscopy, St Mark's Hospital and Academic Institute, Imperial College, London, United Kingdom) |
抄録 |
【目的】ダブルバルーン内視鏡(DBE)による小腸深部挿入が必要な際、何らかの理由によって目標へ到達できない症例を経験する。挿入困難例を事前に予測できることは、小腸疾患の診療アルゴリズムに寄与すると考える。本研究の目的はDBE深部挿入困難に関わる因子をレトロスペクティブに検討することである。【方法】対象は英国セントマークス病院で2005年2月から2011年10月までに施行されたDBE初回569例のうち、深部挿入を試みた399例である。男性240例、女性159例であり平均年齢は56歳であった。契機は、出血精査197例、腫瘍精査82例、狭窄精査加療51例、炎症性疾患精査44例、その他25例であった。通常、診断にはP5スコープを、治療にはT5スコープを用いており、鎮静方法は患者が選択する。挿入距離はMayらの方法に準じ1ストローク20cmを目安として計算している。深部挿入困難例を250cm未満の挿入例と定義し、それに関係する因子として年齢(カットオフ値40歳)、性、腹部手術歴、スコープの種類(T5、P5)、鎮静の種類(全身麻酔[GA]、意識下鎮静[SE])、挿入ルートを挙げ、多変量解析を用いて検討した。【成績】全399例中、40歳未満は100例、腹部手術歴の既往は144例、T5使用は210例、SEは110例、経肛門法は125例で施行した。全患者において、挿入距離の平均(MDI)は212.9cmであった。MDI(cm)は各々、40歳以上:40歳未満=219:193 (p=0.018)、男性:女性=218:204 (p=0.157)、手術なし:あり=244:157 (p<0.001)、P5:T5=228:199 (p=0.005)、GA:SE=212:213 (p=0.942)、経口法:経肛門法=228:179 (p<0.001)であった。単変量解析では、腹部手術歴あり、T5スコープ、経肛門法の3因子が有意に深部挿入困難に関係した。多変量解析においても同様に腹部手術歴あり(p<0.001, オッズ4.4[2.5-7.5])、T5スコープ(p=0.009, オッズ1.8[1.1-2.8])、経肛門法(p=0.048, オッズ1.6[1.0-2.7])の3因子が有意に関係した。【結論】腹部手術歴のある患者における経肛門ルートの治療手技では挿入困難の可能性を考慮する。 |
索引用語 |
ダブルバルーン内視鏡, 腹部手術歴 |