セッション情報 一般演題

タイトル

感染性肝嚢胞の一例

演者 青木 領太(医療法人 川崎病院 消化器内科)
共同演者 西田 悠(医療法人 川崎病院 消化器内科), 竹内 庸浩(医療法人 川崎病院 消化器内科), 野村 祐介(医療法人 川崎病院 消化器内科), 多田 秀敏(医療法人 川崎病院 消化器内科), 前田 哲男(医療法人 川崎病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】肝嚢胞は通常無症状であり治療を要しない良性疾患であるが、まれに症状を有する肝嚢胞がみられ治療の対象となる。今回、我々は感染性肝嚢胞の一症例を経験したので報告する。【症例】76歳女性。2012年2月、1週間続く心窩部痛と発熱を主訴に当院受診し入院となった。血液検査にて、WBC 13600/μL、CRP 18.9mg/dLと炎症反応の高値を認めた。腹部CTにて、肝左葉に巨大な嚢胞を認め、疼痛部位と一致していた。造影CTでは肝膿瘍の所見は認めなかった。感染性肝嚢胞と考え、第2病日に経皮的ドレーン留置を行った。嚢胞液は黒茶色で混濁していた。嚢胞液の培養では起因菌は検出されなかった。嚢胞造影では、嚢胞と胆管の交通はみられなかった。嚢胞ドレナージと抗生剤の投与にて炎症反応はすみやかに改善した。感染改善後もドレーンからの排液が続いたため、肝嚢胞再発防止のために、嚢胞内エタノール注入を2回施行した。エタノール注入により嚢胞からの排液はみられなくなり、嚢胞の再発のないことを確認し、第20病日にドレーンを抜去した。【考察】感染性肝嚢胞は比較的稀な疾患であり難治性であることも多い。診断確定と治療には嚢胞ドレナージが重要である。嚢胞が大きい場合には、感染治癒後に嚢胞内への薬剤注入にて再発を防止する必要があり、難治例では手術を要することもある。本症例では経皮ドレナージ・抗生剤・エタノール注入により保存的に治癒することができた。【結語】感染性肝嚢胞の一症例を経験した。若干の文献的報告をふまえ報告する。
索引用語 感染性肝嚢胞, エタノール注入