セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 若年性Basedow病に合併した僧帽弁逸脱症による,うっ血性肝硬変に類似した病態を来した1例. |
演者 | 田中 雄志(愛仁会 高槻病院 消化器内科) |
共同演者 | 大須賀 達也(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 中野 遼太(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 門田 智裕(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 徳山 長裕(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 山中 広大(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 松本 尊彰(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 小川 浩史(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 北見 元哉(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 石村 恵美(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 志柿 泰弘(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 中島 英信(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 中田 秀史(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 角田 力(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 平野 誠一(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 三里 卓也(愛仁会 高槻病院 心臓血管外科), 谷村 信宏(愛仁会 高槻病院 心臓血管外科), 伊倉 義弘(愛仁会 高槻病院 病理科), 岩井 泰博(愛仁会 高槻病院 病理科) |
抄録 | 【症例】37歳,女性.【主訴】腹部膨満,下肢浮腫.【既往歴】特記事項なし.【家族歴】特記事項なし.【現病歴】2006年健診で眼瞼黄色腫と頻脈を指摘され,2010年8月頃より腹部膨満を自覚していた.その後改善なく下肢浮腫も出現してきたため,2011年8月下旬に近医受診し,腹水指摘され当院消化器内科紹介となった.初診時血液検査で血小板の低値,肝・胆道系酵素の高値を認めた.腹部造影CTでは腹水大量であり,肝右葉の軽度萎縮,肝辺縁は不整で肝硬変を疑った.腹水検査は漏出性で肝硬変によるものと考えた.肝機能障害の原因として,飲酒歴もなく血液検査上ウイルス性肝炎は否定的であった.また血液検査で甲状腺機能亢進を認め,TSHレセプター抗体陽性でありBasedow病と診断し内服加療開始となった.心電図では心房細動を認め,胸部単純Xp検査で著明な肺うっ血と心拡大を認め,心エコー検査にて僧帽弁逸脱症による僧帽弁閉鎖不全(4度)と三尖弁閉鎖不全(3度)を認め,うっ血性心不全と診断し利尿薬・βblocker・ジキタリス製剤・抗凝固薬を開始した.抗核抗体・抗平滑筋抗体・抗ミトコンドリア抗体は陰性であったが,自己免疫性肝炎であれば,ステロイド治療の適応も考えられるため,それらを否定する目的で肝生検を施行した.その結果は,小葉構造は保たれて生検組織上では肝硬変は否定的で,類洞の顕著な拡大があり中心静脈の線維化を認め,うっ血性心不全によるうっ血肝と考えた.僧帽弁逸脱症に対して僧帽弁形成術および,心房細動に対してメイズ手術を行った.術後心不全は改善し,血小板数,肝・胆道系酵素共に正常範囲まで改善を認めた.【結語】心臓性肝硬変とは,心拍出量の低下に伴う肝血流の低下や肝うっ血による中心静脈圧の上昇が起こり,類洞が拡張し肝細胞が脱落することによって発症する.今回の症例では同様の病態で腹水や肝機能障害を生じたと推察された.原疾患に対する外科的治療で腹水消失し,肝機能の改善を認めたため,若干の文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 | 心臓性肝硬変, 僧房弁逸脱症 |