セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 上部消化管内視鏡検査にて発見されたKommerell憩室の1例 |
演者 | 佐野村 誠(北摂総合病院 消化器内科) |
共同演者 | 原田 智(大阪医科大学 第2内科), 西川 知宏(北摂総合病院 消化器内科), 原 あずさ(北摂総合病院 消化器内科), 吉田 紘子(北摂総合病院 消化器内科), 中 悠(北摂総合病院 消化器内科), 高橋 良明(北摂総合病院 消化器内科), 佐々木 有一(北摂総合病院 消化器内科), 森川 浩志(森川クリニック), 樋口 和秀(大阪医科大学 第2内科) |
抄録 | 【はじめに】鎖骨下動脈起始異常(aberrant subclavian artery; ASA)は約0.5%の頻度でみられる.また右側大動脈弓の発生頻度は約0.1%とされており,さらに右側大動脈弓に合併したASAは非常に稀であるが,画像診断の進歩にて容易に診断されるようになった.ASAにおける鎖骨下動脈は下行大動脈から起始し,食道後方,椎体前面を通ったのち胸郭から出て鎖骨下に到達し,その後は通常の鎖骨下動脈と同じ経路をとる.下行大動脈から分岐する鎖骨下動脈起始部が動脈瘤状に拡張したものはKommerell憩室と呼ばれ,発生学的に右または左大動脈弓末梢部が遺残したものである.多くは無症状で経過するが,食道圧迫による嚥下障害を来すこともある.治療としては,ASAに起因する症状を有するもの,瘤化して破裂の危険性があるものは手術適応となる.無症候性で拡張のないASAの手術適応に関しては,鎖骨下動脈は瘤を形成しやすいこと,鎖骨下動脈が破裂した場合の死亡率が100%であることから,3cm以上を手術適応としている施設が多い.今回我々は,嘔気を主訴に上部消化管内視鏡検査を施行したところ,食道の圧排像を認め,胸部CT検査にてKommerell憩室が発見された1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.【症例】71歳,男性.約1カ月前から嘔気を認めたため,当科外来にて上部消化管内視鏡(経鼻内視鏡)検査を施行したところ,鼻翼より27cmの食道にて背側から約3cmにわたり圧排されて狭窄している像を認めた.胸部CT検査にて,右側大動脈弓で左鎖骨下動脈はKommerell憩室(左大動脈弓の遺残部)から分岐しており,Kommerell憩室(最大径26mm)が食道を背側から圧排していた.本例は嚥下障害の症状に乏しく,憩室の最大径が3cm以下であることから,血圧管理・画像follow upにて厳重に経過観察の方針となった.【考察】上部消化管内視鏡検査・食道透視検査にて食道の圧排像を認めることは多く,Kommerell憩室の疾患概念を認識することは重要であると考える. |
索引用語 | Kommerell憩室, 上部消化管内視鏡検査 |