セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル

内視鏡的ドレナージ術が有効であった胃壁膿瘍の一例

演者 林 尚輝(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 )
共同演者 加藤 邦洋(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 大林 倫子(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 岡本 純一(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 大南 雅揮(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 木幡 幸恵(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 福永 周生(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 田中  史生(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 永見  康明(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 杉森 聖司(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 鎌田 紀子(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 谷川 徹也(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 十河 光栄(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 山上 博一(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 斯波 将次(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 渡辺 憲治(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 渡辺 俊夫(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 富永 和作(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 藤原 靖弘(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 荒川 哲男(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 ), 澤田 鉄二(掖済会病院 消化器外科)
抄録 症例は70歳代、男性。主訴は胃腫瘤増大。既往歴:胆管狭窄に対し平成24年1月ERBDtube挿入。現病歴:前医で自己免疫性膵炎の診断にて平成24年4月初旬よりプレドニン投与にて外来フォローされていた。同年5月3日より発熱出現、自宅にて経過観察していたが症状は増悪傾向であった。5月10日前医受診し、血液検査、腹部CT施行され、肝膿瘍、敗血症、DIC、急性腎不全の診断で前医緊急入院となった。肝膿瘍に対して経皮的ドレナージ施行され、抗生剤投与(メロペン1g/日)、点滴加療にてDIC、急性腎不全は改善傾向であったが、炎症反応は高値が持続していた。腹部CT再度施行したところ胃壁に沿って広がる腫瘤性病変を認めた。その後徐々に腫瘤が増大傾向にあったため、超音波内視鏡下でのドレナージ目的に当院当科紹介、5月17日当院へ転院となった。入院後経過:入院時の血液検査にて炎症反応は著明な高値を認めたため、抗生剤メロペンを1g/日から1.5g/日に増量し、嫌気性菌感染も考慮しダラシンも追加投与開始した。腹部MRIにて腫瘤内に二ボーを呈するT2で高信号領域を認め、膿瘍が疑われた。5月18日に胃壁膿瘍に対して超音波内視鏡下にドレナージ施行し、黄白色の液の排出を認めた。胃壁膿瘍からの細菌培養ではklebsiella pneumoniaeが検出された。胃壁膿瘍にドレナージtubeを2本挿入し胃内に内瘻化した。ドレナージ施行後は血液検査上も発熱症状も改善傾向であった。しかし5月21日に黄疸の増悪あり、留置していたERBD閉塞を疑った。緊急内視鏡施行した所、下部胆管の閉塞及び膿性胆汁を認め、ERBDtube交換した。処置後の経過は良好である。考察:胃壁膿瘍は比較的稀な疾患とされており、胆管炎等の持続的な感染の波及等が原因として考慮される。本症例でも胆管炎を契機として胃壁膿瘍・肝膿瘍に至ったと考えられる。治療として外科手術が報告されている症例が多いが、内視鏡的ドレナージ術が有用であるとの報告も見られ、積極的に考慮すべき治療法と考えられた。結語:内視鏡的ドレナージ術が有効であった胃壁膿瘍の一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胃壁膿瘍, EUS下ドレナージ