セッション情報 |
パネルディスカッション18(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
小腸疾患に対する診断治療の現況と今後の展望
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タイトル |
消PD18-11:バーチャル小腸内視鏡
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演者 |
吉川 俊之(静岡県立総合病院・消化器内科) |
共同演者 |
鈴木 直之(静岡県立総合病院・消化器内科), 菊山 正隆(静岡県立総合病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】バルーン内視鏡とカプセル内視鏡の登場により、小腸の内腔観察が可能となったが、患者側と検査を行う側の要因などにより、全小腸の内腔観察を行える症例は限られる。我々は、少ない侵襲と労力で全小腸の内腔観察を行うことを目標に、バーチャル小腸内視鏡(VE)の開発に取り組んでいる。我々の施設におけるプロトコール、全小腸描出成功率、描出可能であった種々の病変、今後の展望について発表する。【方法】2006年11月から2012年2月の間に当科にて行われた、90件のVEについてレトロスペクティブに解析した。経鼻経管あるいは経肛門的に小腸に空気を注入し、64列マルチスライスCTで撮像後、バーチャル大腸内視鏡用プログラムにより画像を再構築した。全小腸描出率を向上させる目的で、送気チューブ、送気装置、プロトコールを適宜改良した。【成績】VE施行理由の内訳は、クローン病(疑い症例を含む)32件、イレウス23件、腫瘍13件、腹痛8件、OGIB 5件、腸重積2件、異物誤嚥疑い1件、メッケル憩室疑い1件、その他5件であった。2011年3月から2012年2月までの一年間では、経鼻経管法によりVEを施行した18件の内、15件(83%)で全小腸の内腔像が得られた。種々の改良により検査自体は容易となったが、大腸用プログラムを小腸に流用しているため、画像構築に労力と時間を要した。強い狭窄、管腔の虚脱、送気チューブ先端で発生するアーチファクト、口側への空気逆流が、全小腸描出を困難にする主な原因であった。狭窄病変、隆起病変、粘膜下病変、憩室、腸管内異物などが良好に描出された。また、これらの病変をバーチャル展開像上にプロットし、小腸マップを作成することにより、病変の経過観察や治療方針の検討が容易となった。さらに小腸切除例においては、残存小腸の長さを推定することができた。【結論】VEによりほとんどの症例で全小腸の内腔と粗大病変を描出することができる。本検査を普及するためには、VE専用の送気チューブ・送気装置・画像構築プログラムの開発が必要である。 |
索引用語 |
CT, 全小腸描出成功率 |