セッション情報 |
パネルディスカッション18(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
小腸疾患に対する診断治療の現況と今後の展望
|
タイトル |
消PD18-13:クローン病小腸大腸病変の評価および再燃予測におけるMRエンテロコロノグラフィー(MREC)の有用性
|
演者 |
藤井 俊光(東京医歯大・消化器内科) |
共同演者 |
長堀 正和(東京医歯大・消化器内科), 渡辺 守(東京医歯大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】クローン病(CD)の病変評価には小腸造影や小腸内視鏡などを施行しているが、被爆や苦痛、また狭窄や癒着による検査の制限などの問題がある。近年CDの腸管病変に対してCTやMRI等の非侵襲的な画像診断が注目されている。粘膜だけではなく腸管壁や壁外の情報も得られ、より的確に状態を把握できる可能性がある。われわれはこれまでCDに対する小腸大腸の同時評価法としてMRエンテロコロノグラフィー(MREC)を開発し報告してきた(Hyun SB, Fujii T. et al. Inflamm Bowel Dis. 2010)。今回、CDに対するMRECの診断能・有用性について検討し、さらにMRECによって再燃予測が可能であるか検討した。【方法】2009年7月から2012年1月に当院通院中のCD症例65例を対象にMRECを施行し、SES-CDに準じて設定したMRECスコア、臨床症状、CDAI、CRPを評価項目とし、前向きに再燃、入院、手術率について検討した。また下部消化管内視鏡・小腸内視鏡をreference standardとしてMRECの診断能(感度・特異度)について評価した。MRECはゾンデ留置や注腸は行わず、前処置として検査前日19時にマグコロールP 50g、水200ml内服し、当日ニフレック1lを内服1時間後にMR撮影を行った。【結果】MRECの重症および軽症の粘膜病変に対する感度は、大腸で88.2%、61.8%、小腸で100%、85.7%であり、特異度は大腸・小腸ともに各病変とも90%以上であった。MRECスコアは内視鏡スコアと高い相関を示し(大腸r=0.85、小腸r=0.88)、CDAIおよびCRPとは中等度の相関を示した。またMRECスコア8点以上の陽性35例と8点未満の陰性30例では陽性群で1年後の手術率が有意に高かった(陽性群23.3%、陰性群5.9%、p<0.05)。臨床的寛解の33例について陽性11例と陰性22例について前向きに検討したところ8点以上の陽性群で有意に再燃する(陽性群27.3%、陰性群4.5%、P=0.016)ことがわかった。【結論】MRECはCDの小腸大腸病変を同時に評価するのに有用であり、また寛解例においては再燃予測に重要である可能性が示唆された。 |
索引用語 |
クローン病, MRI |