セッション情報 一般演題

タイトル 027:

当科における肝細胞癌患者に対するソラフェニブ治療の検討~過疎地域での高齢者に対するソラフェニブ治療の現状~

演者 紙屋 康之(阿久根市民病院消化器病センター内科)
共同演者 福森 光(阿久根市民病院消化器病センター内科), 大西 峻(阿久根市民病院消化器病センター外科), 米盛 圭一(阿久根市民病院消化器病センター外科), 濱田 博隆(阿久根市民病院消化器病センター外科), 坂元 昭彦(阿久根市民病院消化器病センター外科), 崎田 浩徳(阿久根市民病院消化器病センター外科), 今村 博(阿久根市民病院消化器病センター外科), 田辺 元(阿久根市民病院消化器病センター外科), 佐々木 裕(熊本大学大学院消化器内科学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【目的】高齢化に伴う過疎地域を主な医療圏とする当院では、地域医療の拠点として、救急医療から癌治療まで幅広く担っているのが現状である。当院では、2011年4月より消化器病センター内科が誕生し診療を行っているが、肝細胞癌に対しても、診断から治療まで、当科での治療の完結を地域住民から希望されることが少なくない。今回、当科における肝細胞癌患者に対するソラフェニブ治療の現状について報告する。【方法】2011年7月~現在までに当科でソラフェニブ投与が可能であった肝細胞癌患者9例(男性5例、女性4例、平均年齢75.7±8.9歳、Stage II 3例、III 5例、IVB 1例)を対象とした。全例、肝機能はChild-Pugh分類A(5点6例、6点3例)であり、導入量は600mg/5例、400mg/2例、200mg/2例と全例減量投与より開始した。 効果判定には、RECISTとmodified RECISTを使用し、副作用の評価には、CTCAE v4.0を使用した。【成績】観察期間中央値は、6.6ヶ月(2.4-11.0)、ソラフェニブ投与期間中央値は、3.1ヶ月(1.2-8.9)、無増悪期間中央値は、3.5ヶ月(0.9-8.9)であった。治療開始後の効果判定では、腫瘍制御率66.7% (SD6例、PD3例)であった。SDの1例で、治療開始6ヵ月後に、造影CTの動脈相における腫瘍濃染像が消失したため、modified RECISTにて CRと判定し、現在、CR継続中である。副作用は、8例(88.9%)において何らかの有害事象を認め、4例(44.4%)にG3以上の副作用(手足皮膚反応2例、高血圧2例、下痢1例(重複あり)を認め減量が必要であったが、中止例は認めなかった。【結語】今回の検討では、ソラフェニブの直接的な副作用による中止例は認めず、投与方法や副作用に対する対策を工夫することで、高齢肝細胞癌患者に対しても有効な治療の選択肢になり得ると思われる。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ