セッション情報 一般演題

タイトル 099:

シャント型脳症に対して経回結腸静脈的塞栓術(TIO)が有効であった1例

演者 平峯 靖也(鹿児島厚生連病院 内科)
共同演者 今村 也寸志(鹿児島厚生連病院 内科), 山下 容雅(鹿児島厚生連病院 内科), 樋脇 卓也(鹿児島厚生連病院 内科), 馬場 芳郎(鹿児島厚生連病院 内科), 庄 幸彦(鹿児島厚生連病院 内科), 田原 賢治(鹿児島厚生連病院 内科), 窪薗 修(鹿児島厚生連病院 内科), 小倉 芳人(鹿児島厚生連病院 外科), 前之原 茂穂(鹿児島厚生連病院 外科)
抄録 【はじめに】脾-腎シャントによる肝性脳症に対して、経回結腸静脈経路にてアプローチし側副血行路を閉塞することで、合併症なく改善した症例を経験したので報告する。【症例】患者:72歳  男性    主訴:意識障害、手指振戦、指南力障害【現病歴】H18年よりアルコール性肝硬変症にて近医で治療。H22年4月 肝細胞癌に対して肝動脈化学塞栓術(TACE)を繰り返す。H23年2月 肝性脳症出現し、4月当院紹介となる。   7月、12月、肝性脳症で入院。H24年1月 肝細胞癌が再発したため入院TACE施行。   3月 異常行動や傾眠傾向を主訴に来院。肝性脳症III°にて入院となる。【入院後経過】分岐鎖アミノ酸製剤の点滴にて症状は速やかに改善した。しかし、点滴を中止にすると肝性脳症が再燃したため、点滴製剤から離脱できない状態が続いた。側副血行路(脾-腎シャント)が原因であると考え、5月1日:側副血行路塞栓術を施行。翌日の採血より血中アンモニアは低下し、意識も清明となり退院。【考察】シャント型脳症の治療は、排血路から逆行性にアプローチするB-RTOやTJOと供血路から順行性にアプローチするTIOやPTOに大別される。本症例は、側副血行路から左腎静脈への流入部が急峻で蛇行が強く、肝臓も著しく萎縮していたためTIOを選択した。さらに、我々は、以前、シャント型脳症の治療は、胃静脈瘤治療と異なり完全に閉塞するのではなく血流を低下させるだけで改善し合併症も少ないことを報告した。本症例も完全閉塞は得られなかったが、側副血行路の血流が低下し上腸間膜静脈血が求肝性に変化したことで肝性脳症の改善が得られたと考えられた。シャント型脳症における治療は側副血行路を完全閉塞すべきか、ある程度の血流は残すべきか、また残すとすればどの程度の塞栓を基準とすべきかなど今後検討していく余地があると考えられた。
索引用語 肝性脳症, 側副血行路