セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専77:S状結腸腹膜垂により形成されたloopによる絞扼性イレウスの1例 |
演者 | 石井 光寿(長崎大学腫瘍外科(第一外科)) |
共同演者 | 黨 和夫(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 小山 正三朗(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 松本 彩(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 溝口 聡(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 銕尾 智幸(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 森山 正章(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 村上 豪志(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 高木 克典(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 田中 研次(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 福田 大輔(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 國崎 真己(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 阿保 貴章(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 竹下 浩明(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 日高 重和(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 七島 篤志(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 澤井 照光(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 安武 亨(長崎大学腫瘍外科(第一外科)), 永安 武(長崎大学腫瘍外科(第一外科)) |
抄録 | 【はじめに】今回、S状結腸腹膜垂同志の癒着により作成されたloopを原因とした開腹歴のない絞扼性イレウス症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】74歳の男性で胆嚢炎の既往はあるも開腹歴はなかった。2012年6月初旬、比較的急な発症の臍周囲の腹痛を認め近医を受診した。胆石発作が疑われ当科を紹介となった。診察時、腹部全体に周期的な疝痛を認め、筋性防御を呈していた。腹部造影CTでは、下腹部左側よりに限局性の小腸拡張を認め、壁の造影効果の低下は目立たないが、同部の腸間膜脂肪織濃度は上昇し血行障害が示唆された。ややdensityの高い腹水も認めることから絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した。開腹すると腹腔内には中等量の血性腹水が貯留しており、さらに暗赤色に拡張した小腸loopを認めた。検索すると絞扼の原因がバンドであることが確認できたため、これを切離して絞扼を解除した。絞扼の原因となったバンドはS状結腸腹膜垂どうしの癒着により生じたloopにより形成されていた。回盲部より140cm、Treitz靭帯より220cmの小腸が75cmにわたり絞扼されていた。絞扼された小腸は不可逆的な血流障害をきたしていたため同部を部分切除した。結腸腹膜垂は大網と癒着し他部位にも同様のloopを2カ所で形成していたため、電気メスで開放した。【考察】結腸腹膜垂に起因する絞扼性イレウスは検索し得た限りでは本症例を含めて20例(抄録のみを含む)と比較的まれな病態の疾患である。腹膜垂によるloopの形成機序としては、腹膜垂どうしの先端部分での癒着や、基部に生じた穴によるもの、また先天的ものなどが考えられている。開腹歴のないイレウスの原因となるため、その存在を認識しておくことは意義のあることと考える。 |
索引用語 | 腹膜垂, 絞扼性イレウス |