セッション情報 一般演題

タイトル 103:

肝生検にてvon Meyenburg complexesと診断し得た一例

演者 後藤 和人(社会保険直方病院)
共同演者 仁保 宏二郎(社会保険直方病院), 松本 真裕(社会保険直方病院), 坂本 茂(社会保険直方病院), 大谷 晃(社会保険直方病院)
抄録 von Meyenburg complexesは、肝臓に認められる胆管由来の微小過誤腫であり、比較的まれな疾患である。今回、我々は肝硬変が疑われる症例に肝生検を行い、von Meyenburg complexesが疑われる症例を経験したので報告する。症例は72歳の女性。2002年頃より近医にて脂肪肝の疑いがあると指摘されていた。2012年4月17日、上腹部超音波断層法検査にて肝臓の内部エコーは不均一であり、点状の高輝度領域を認め、肝硬変の状態が疑われた。さらに肝S8に腫瘤を認めたために精査を勧められた。血液検査ではPlt 10.1万/μl、T-Bil/D-Bil 0.78/0.17mg/dl、AST/ALT 27/23U/l、ALP 393U/l、LDH 194U/l、γ-GTP 105U/l、IgG 1172mg/dl、IgA 278mg/dl、IgM 265mg/dlであった。HBs抗原もHCV抗体も陰性であり、抗核抗体、抗ミトコンドリア抗体ともに陰性であった。6月27日に17G針にて肝生検を施行した。肝生検の所見は、胆管の不規則な拡張とその内腔に胆汁のうっ滞を認めた。また、拡張した胆管の周囲には広範囲の線維化を認めた。自検例では高齢である上に上部消化管内視鏡検査にて食道静脈瘤などを認めないことより、鑑別診断として挙げられる先天性肝線維症は否定的であると判断した。また、MRCPでは総胆管など胆管の拡張を認めず、Caroli病も否定的であり、T2強調像で高信号の径数mm大の病変を肝両葉に多数認めた。以上の結果よりvon Meyenburg complexesと診断し、経過観察を行う方針とした。
索引用語 VMC, 肝硬変