セッション情報 一般演題

タイトル 098:

α-グルコシダーゼ阻害剤内服後に発症した門脈血ガス血症の一例

演者 北島 千恵子(新古賀病院)
共同演者
抄録 【α-グルコシダーゼ阻害剤内服後に発症した門脈血ガス血症の一例】医療法人天神会消化器内科 北島千恵子 内田優介 石田康一郎 佐保博美 中村弘毅 【はじめに】α-グルコシダーゼ阻害薬が原因と考えられる門脈血ガス血症の一例を経験したので報告する。【症例】78歳男性【主訴】心窩部~右季肋部痛【現病歴】2型糖尿病、本態性高血圧症、発作性心房細動の既往があり、近医にてフォローされていた。2011年3月22日に昼食後より特に誘因なく心窩部~右季肋部痛を自覚し、症状が継続するため近医を受診、胆嚢炎の疑いで当院紹介となった。【入院時現症】眼球結膜黄染なし、腹部平坦・軟、右季肋部に圧痛を認めた。血液検査では炎症所見を認めたが、肝機能障害は認めなかった。【内服薬】塩酸メトホルミン(商品名;メデット)、α-グルコシダーゼ阻害薬(商品名;ベイスン)【入院後経過】腹部CTで門脈内に著明なガス貯留を認め、門脈ガス血症と診断した。腹部単純X線写真では大腸ガスの貯留を認めたが、Free airの所見は認めなかった。炎症に対して抗菌薬による加療を行いつつ、門脈ガス血症の原因検索を行った。しかし上下部消化管内視鏡検査において腸管壊死を示唆する所見は認めなかった。ベイスン内服による副作用の可能性も考え内服を中止としたところ、3月28日のCTで門脈内のガスは消失していた。以後、症状の再燃無く、血液検査でも炎症所見の改善を認め、全身状態良好であったため、4月8日に退院となった。【考察】門脈ガス血症は種々の消化器疾患を基礎とした二次的な疾患であり多岐にわたる原因が報告されている。腸管壊死が原因ではない門脈ガス血症は、腸管壊死が原因の門脈ガス血症と比べ致死率が低いとの報告もあり、本症例では保存的加療にて改善を認めた。
索引用語 0427, 0427