セッション情報 シンポジウム「消化器疾患における新規治療法」

タイトル S2-01:

慢性C型肝炎に対する新規Peg-IFN + RBV + TPV併用療法の治療成績: IL-28B SNPs毎のウイルス動態を中心に

演者 吉本 剛志(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター)
共同演者 国府島 庸之(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 黒川 美穂(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 岩田 真悠子(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 中村 吏(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 福嶋 伸良(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 福泉 公仁隆(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 藤森 尚(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 河邉 顕(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 原口 和大(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 隅田 頼信(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 原田 直彦(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 遠城寺 宗近(福岡大学 薬学部 免疫・分子治療学), 中牟田 誠(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター)
抄録 【目的】NS3/4A阻害剤であるTelaprevir (TPV)は昨年末に認可となり、現在C型慢性肝炎に対して新規peg-IFN + ribavirin (RBV) + TPV併用療法が行われている。先行する試験の成績ではGenotype 1b症例に対して70%以上の著効率が得られており、その有用性が期待されている。IL-28B SNPsはIFN治療を行う上で最も有効性に影響する因子の一つであり、peg-IFN + RBV + TPV治療時においてもその効果に大きく影響すると考えられるが、実際のHCVのウイルス動態とIL-28B SNPsとの関連については不明な点が多い。
【方法】当院においてHCV Genotype 1b 高ウイルス群81例に対しpeg-IFN + RBV + TPV治療を行った。各症例でのIL-28B SNPを測定し、それぞれの群でのウイルス量の変化を比較した。
【成績】Peg-IFN + RBV + TPV治療時のHCV-RNAは、Peg-IFN + RBV治療時と比較し急速に減少し、ほとんどの症例では治療開始後8週目までにウイルスが陰性化した。治療開始後3週目までのウイルス量の変化はIL-28B SNPsの両群で差を認めなかったが、開始後4週、6週の時点でのウイルス陰性化率は、IL-28B TG/GG 群で59.1%, 77.3%とTT群 (85.4%, 97.8%)と比較し優位に低かった (p=0.0056, p=0.0045)。ウイルス陰性化時期もIL-28B TT群で早く、更にHCV-RNAが検出限界まで低下してから陰性化するまでの期間もTG/GG群で延長していた (1.67 vs. 1.04, p=0.04)。
【結論】Peg-IFN + RBV + TPV治療時にHCV-RNA量は急速に減少するが、IL-28B TG/GG群ではTT群と比較し反応が不良であり、IL-28B SNPsは早期の血中からのウイルス減少には影響しないが、その後のウイルス排除に影響している可能性が考えられた。
索引用語 HCV, 3剤併用療法