セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研34:

Interval appendectomyにて発見された虫垂癌の一例

演者 倉光 絵梨奈(大分県中津市立中津市民病院)
共同演者 廣石 和章(大分県中津市立中津市民病院), 三島 泰彦(大分県中津市立中津市民病院), 上原 英雄(大分県中津市立中津市民病院), 岡田 敏子(大分県中津市立中津市民病院), 大場 太郎(大分県中津市立中津市民病院), 福山 康朗(大分県中津市立中津市民病院), 白水 章夫(大分県中津市立中津市民病院), 岸原 文明(大分県中津市立中津市民病院), 池田 正仁(大分県中津市立中津市民病院)
抄録 【はじめに】虫垂周囲膿瘍を形成した穿孔性虫垂炎に対して、近年interval appendectomyが標準治療となりつつある。今回われわれはinterval appendectomyを施行した穿孔性虫垂炎に虫垂癌を認めた症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】64歳男性。腹部膨満感、右下腹部痛を主訴に近医を受診し、急性虫垂炎の診断にて当院に紹介となった。CTにて穿孔性虫垂炎及び虫垂周囲膿瘍の診断で、interval appendectomyの適応と判断し、保存的加療を行い症状は改善した。約8週間後に腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。虫垂は後腹膜に癒着しており、びまん性の壁肥厚を認め、穿孔部と考えられた末梢側は硬く内腔が閉塞していた。病理診断にて低分化型腺癌の診断であった。病理組織学的には切除断端陰性であったが、深達度はSSで軽度のリンパ管侵襲を認めたため、根治手術として回盲部切除術(D3)を施行した。術中所見にて回結腸動脈周囲リンパ節に加えて回腸間膜にも腫大リンパ節を多数認めたものの、病理診断では回結腸リンパ節に1個転移を認めたのみで、虫垂断端や合併切除した後腹膜にも悪性所見を認めなかった。術後経過は良好で、今後は外来にて補助化学療法を行う方針としている。【まとめ】原発性虫垂癌は比較的まれな疾患であり、術前に診断することは困難で、進行癌として発見され予後不良な経過をたどる症例も少なくない。本症例は二期的切除とはなったものの、根治切除が施行できたと考えられる。また、最近では穿孔性虫垂炎に対するinterval appendectomyの必要性に関しても議論されているが、特に高齢者においては虫垂癌の合併も考慮したうえでinterval appendectomyの必要性を検討すべきであると考えられた。
索引用語 虫垂癌, Interval appendectomy