セッション情報 シンポジウム「消化器疾患における新規治療法」

タイトル 016:

慢性C型肝炎に対するペグインターフェロン、リバビリン併用療法におけるGeranylgeranylacetone(GGA)併用の有用性

演者 妹尾 健正(長崎大学病院消化器内科)
共同演者 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科), 市川 辰樹(長崎大学病院消化器内科), 田浦 直太(長崎大学病院消化器内科), 宮明 寿光(長崎大学病院消化器内科), 柴田 英貴(長崎大学病院消化器内科), 本田 琢也(長崎大学病院消化器内科), 内田 信二郎(長崎大学病院消化器内科), 加茂 泰広(長崎大学病院消化器内科), 吉村 映美(長崎大学病院消化器内科), 高原 郁子(長崎大学病院消化器内科), 鶴田 正太郎(長崎原爆病院消化器内科), 竹下 茂之(長崎原爆病院消化器内科), 堤 卓也(長崎市民病院消化器内科), 後藤 貴史(長崎労災病院消化器内科), 山口 東平(長崎労災病院消化器内科)
抄録 【背景】現在本邦において、難治性慢性C型肝炎(CHC)患者に対するもっとも効果の高い治療法は、ペグインターフェロン(PIFN)とリバビリン(R)にテラプレビル(TRP)を加えた3剤併用療法である。3剤併用療法はSVR率の大幅な上昇をもたらした。しかしながらTRPの追加に伴う副作用から治療継続が困難な症例も存在するため、PIFN+R併用療法(2剤併用療法)の効果を安全に高める薬剤を追求することは依然として重要な課題である。我々はこれまでGeranylgeranylacetone(GGA)の抗HCV効果を報告してきた(Biochem Biophys Res Commun.280;933-9:2001、J Gastroenterol.47;195-202:2012、Acta Med Nagasaki.56;in press:2012)。今回我々は、2剤併用療法におけるGGA追加投与の影響を検討した。
【方法】当科および関連施設のCHC患者191名を、2剤併用療法の137名(1b型104名)(対照群)と、2剤併用療法にGGA(300mg/日)を追加した54名(1b型37名)(GGA群)に分け前向きに検討をおこなった。上記2群間において、SVR率、RVR率、治療達成率と脱落の理由について比較した。
【結果】2群間の背景因子に差は認めなかった。1b型におけるSVR率は、対照群で31%、GGA群で55%と有意差をみとめ、RVR率でも6.9%と23%と有意差を認めた。1b型でIL28BSNPがTT型の群ではHCV-RNA消失がGGA群で早期に認められた。全患者での治療完遂率は対照群が78%、GGA群では92%と有意に高値であった。GGA群では精神的要因による治療中止例の減少が認められた。その結果PIFNのアドヒアランスが向上していた。
【結論】2剤併用療法において、GGA追加によるSVR率上昇が示された。GGAの抗HCV作用によるHCVの早期消失に加え、2剤併用療法の副作用である精神的要因による治療中止例の減少がアドヒアランスを上げたことも影響していると考えられた。今後、GGAの投与量について検討することでCHC治療にさらなる発展をもたらすことができるものと考えている。
索引用語 ペグインターフェロン、リバビリン併用療法, Geranylgeranylacetone(GGA)