共同演者 |
山本 隆裕(小倉記念病院消化器内科), 下池 典広(小倉記念病院外科), 牟田口 真(小倉記念病院消化器内科), 谷本 治子(小倉記念病院消化器内科), 石垣 賀子(小倉記念病院消化器内科), 青山 浩司(小倉記念病院消化器内科), 吉本 裕紀(小倉記念病院外科), 藤川 貴久(小倉記念病院外科), 吉田 智治(小倉記念病院消化器内科), 田中 明(小倉記念病院外科) |
抄録 |
【はじめに】近年、内視鏡治療と腹腔鏡治療を同時に行い必要最小限の浸襲で腫瘍切除を可能とするLECS(Laparoscopic Endoscopic Cooperative Surgery)が注目されており、当院で経験したLECSの症例に関し報告する。【症例1】65歳男性。当院健診の上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球部前壁に隆起性病変を認め、生検にて粘膜下にadenocarcinomaを疑う所見を認めた。転移性病変を疑い、全身精査を行うも他に原発巣を疑う病変を認めず。また、4年前より腸間膜リンパ節腫大を指摘されていたが、十二指腸病変とは離れており、関連性は明らかでなかった。SIL-2を含め各種腫瘍マーカーの上昇は認めず。腸間膜リンパ節生検および十二指腸病変切除目的にLECSを施行した。【手術】内視鏡にて十二指腸球部前壁の7-8mm大の隆起性病変に対し、全周ESD切開施行後、内視鏡的に半周全層切開し、腹腔鏡下に残りの半周を全層切開して病変を局所切除した。空腸起始部の腫大リンパ節も腹腔下に切除した。【病理】十二指腸:Adenocarcinoma,tub2-2mm,pT1b,int,INFβ,ly0,v0,pHMX,pVM0(胃癌取り扱い規約に準じて記載)。リンパ節:Follicular lymphoma, grade1。【経過】特に合併症なく術後経過良好で、術後12日目に退院した。十二指腸は原発性十二指腸癌であったが、治癒切除できていると判断し、経過観察の方針、リンパ節はFollicular lymphomaであり、当院血液内科で加療中である。【症例2】70歳男性。慢性肝炎で当科フォロー中、スクリーニング目的で施行した上部消化管内視鏡検査で、胃穹窿部前壁に3cm大の粘膜下腫瘍を認めた。EUS-FNA施行し、CD34およびc-kitが強陽性に反応し、GISTと診断。他に転移所見を認めず、LECSを施行した。【手術】内視鏡的に腫瘍周囲をほぼ全周性に粘膜下層まで切開し、その後、一部を全層切開して穿孔させ、腹腔鏡操作にて穿孔部からLCSを挿入し、ESDのラインに沿って全層切開を全周性に施行し、腫瘍を切離した。【経過】術後経過は良好で術後7日目に退院した。【結語】LECSは必要最小限の浸襲で腫瘍切除を可能とし、合併症も少なく安全かつ有用な手技と考えられた。 |