セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専46:

小腸MALTリンパ腫治療の9年後に胃に再燃を来した1例

演者 井原 勇太郎(九州大学病態機能内科学)
共同演者 中村 昌太郎(九州大学病態機能内科学), 浅野 光一(九州大学病態機能内科学), 熊谷 好晃(同形態機能病理学), 平橋 美奈子(同形態機能病理学), 原岡 誠治(福岡大学筑紫病院病理部), 富永 雅也(白十字病院), 松本 和博(まつもと胃腸内科), 松本 主之(九州大学病態機能内科学), 北園 孝成(九州大学病態機能内科学)
抄録 症例は70歳男性.2002年に胃潰瘍のため他院でH. pylori除菌を受けた.2003年に腸閉塞のため白十字病院で回腸部分切除術を施行された.切除標本の病理組織検査で小腸MALTリンパ腫(深達度ss,臨床病期I期)と診断され,以後近医で経過観察されていた.2012年6月に心窩部不快感のため上部消化管内視鏡検査を受けたところ,胃体部大弯に潰瘍性病変を指摘され,生検でMALTリンパ腫が疑われたため当科に紹介入院となった.胃X線・内視鏡検査で,体上部大弯に襞の途絶と治癒傾向の開放性潰瘍を伴う褪色調陥凹性病変を認め、生検でMALTリンパ腫の組織像が得られた.NBI拡大観察では陥凹内に異常小血管の増生と上皮直下の白色無構造領域を認め,EUSでは粘膜下深部浸潤に及ぶ低エコー領域として観察された.小腸内視鏡検査では、術後吻合部に浅い潰瘍を伴う全周性の狭小化を認めたが,生検ではリンパ腫細胞は検出されなかった.CT,PET-CT,骨髄穿刺で胃病変以外にリンパ腫の浸潤を認めなかった.以上より、Lugano国際分類I期の胃MALTリンパ腫と診断した.血清H. pylori抗体および尿素呼気試験は陰性であり、放射線治療を予定している.消化管はMALTリンパ腫の好発部位でありしばしば多臓器浸潤がみられる.しかし、本例のように,小腸と胃の異時性多発性MALTリンパ腫はまれと考えられるため,文献的考察を加えて報告する.
索引用語 MALT, リンパ腫