セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研01:

著名な肝障害を伴った骨髄性プロトポルフィリン症の1例

演者 紺田 みずほ(くまもと森都総合病院 消化器内科)
共同演者 宮瀬  志保(くまもと森都総合病院 消化器内科), 大内田 義博(くまもと森都総合病院 消化器内科), 原岡 克樹(くまもと森都総合病院 消化器内科), 森下 祐子(くまもと森都総合病院 消化器内科), 藤山 重俊(くまもと森都総合病院 消化器内科)
抄録 【背景】ポルフィリン症はまれな疾患であるが、急性発作時には多様な症状を呈し、時に致死的な経過をたどる可能性がある。今回、骨髄性プロトポルフィリン症の経過中に、著しい肝障害を伴う急性発作が出現した例を経験したので報告する。【症例】症例は40歳男性。小児期より光線過敏があり、10歳時に近医で骨髄性プロトポルフィリン症と診断された。20歳時に著明な肝障害が出現して近医に緊急入院したが、2-3週間で回復した。30歳頃から年1-2回の全身倦怠感を自覚していたが、40歳頃から月に1-2回となった。2012年3月に黄疸と全身倦怠感を自覚し当院外来を受診。肝障害を認め、尿中コプロポルフィリン305μg/g・CRE、尿中ウロポルフィリン75μg/g・CREであった。以後近医に通院していたが、同年7月に黄疸と全身倦怠感、腹痛、食欲不振で紹介入院となった。既往歴:特記事項なし。生活歴:月に1-2回の大量飲酒、喫煙20本×12年。家族歴:両親・妹に光線過敏なし。長男が骨髄性プロトポルフィリン症、長女は骨髄性プロトポルフィリン症疑い。入院時に心窩部痛、便秘があり、腹部単純写真でイレウス像を認めた。腹部CTでは腸管の閉塞はなく肝・脾腫大を認めた。また排尿困難の訴えがあり、腹部エコーで左腎盂拡大を認めた。検査所見はT-Bil 10.0mg/dL,D-Bil 5.9mg/dL,AST 129U/L,ALT 217U/L,ALP 587U/L,γ-GTP 700U/L、尿中コプロポルフィリン644μg/g・CRE、尿中ウロポルフィリン72μg/g・CRE、血中プロトポルフィリン10072μg/dL、赤血球遊離プロトポルフィリン5331μg/dLであった。皮膚生検で真皮の血管周囲にPAS陽性の沈着物を認めた。以上より骨髄性プロトポルフィリン症の急性発作が考えられた。麻痺性イレウスに対して多種の薬剤を投与するも当初は全く反応なかったが、症状は経過とともに改善した。現在、本人の同意を得て遺伝子診断の解析中であるが、黄疸に関しては改善が得られていない。【考察】骨髄性プロトポルフィリン症は稀な遺伝子疾患で、肝障害や急性発作をきたす例は多くない。しかし急性発作時は治療に難渋する例が多く、今後の治療法の開発が待たれる。
索引用語 ポルフィリン症, 肝障害