セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専02:

胸痛・全身倦怠感を主訴とした肝細胞癌自然退縮の1例

演者 山下 容雅(鹿児島厚生連病院内科)
共同演者 平峯 靖也(鹿児島厚生連病院内科), 馬場 芳郎(鹿児島厚生連病院内科), 樋脇 卓也(鹿児島厚生連病院内科), 今村 也寸志(鹿児島厚生連病院内科), 庄 幸彦(鹿児島厚生連病院内科), 田原 憲治(鹿児島厚生連病院内科), 宇都 浩文(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 真(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 小倉 芳人(鹿児島厚生連病院外科), 松木田 純香(鹿児島厚生連病院病理診断科), 吉田 愛知(鹿児島大学医学部保健学科総合基礎看護学講座)
抄録 症例は62歳の男性で,B型慢性肝炎の診断で当科通院歴があった.
2012年5月,右胸部から頚部にかけての疼痛・全身倦怠感・食思不振を認め近医受診.炎症反応高値(白血球 10400 /μl,CRP 10.5 mg/dl),総ビリルビン1.9 mg/dlと軽度上昇を認め補液・肝庇護薬投与された.症状は軽快したがAFP異常高値が判明し,当科紹介受診となった.受診時のCTで肝S4/8径36mmの横隔膜下に突出する腫瘍を認めた.精査目的に入院し,EOB-MRIで肝S4/8腫瘍は明らかな早期濃染像は認めなかったが,被膜様構造を有する腫瘍として描出された.腹部血管造影検査では腫瘍の被膜と内部の一部に淡い濃染像を認め,AFP低下傾向であったことから自然退縮傾向にある肝細胞癌と考え,肝部分切除術を行った.切除した腫瘍は境界明瞭な厚い被膜を有し内部には黄褐色の壊死様物質が認められた.病理組織学的検査所見では結節内の大部分は凝固壊死に陥っていたが,全腫瘤の1-2%程度に腫瘍細胞を認め,当初の診断通り肝細胞癌の自然退縮と考えられた.肝細胞癌の高度な自然退縮は稀であるが,本症例では機序として腫瘍への血流供給の低下が疑われた.
索引用語 肝細胞癌, 自然退縮