セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専93:

難治性癒着性イレウスに対してエリスロマイシンが奏効した一例

演者 中舎 晃男(国立病院機構 福岡東センター)
共同演者 松井 謙明(国立病院機構 福岡東センター), 清水 聡孝(国立病院機構 福岡東センター), 澤村 紀子(国立病院機構 福岡東センター), 松岡 順子(国立病院機構 福岡東センター), 坂井 慈実(国立病院機構 福岡東センター), 高松 悠(国立病院機構 福岡東センター), 田代 茂樹(国立病院機構 福岡東センター), 桑野 哲史(国立病院機構 福岡東センター), 多田 靖哉(国立病院機構 福岡東センター), 大越 惠一郎(国立病院機構 福岡東センター), 田中 宗浩(国立病院機構 福岡東センター)
抄録 症例は77歳、脳梗塞後遺症で片麻痺はあるがADLの自立した男性。51歳時に胃腫瘍(詳細不明)に対して胃部分切除術を施行された既往がある。75歳時より癒着性イレウスを繰り返すようになり、2年間で約10回の再発を認めた。イレウスは毎回単純性イレウスであり、絶食・イレウスチューブ留置といった保存的治療により2~3日と比較的短期間に改善していた。食事・運動などの生活指導および緩下剤、センナ、大建中湯、クエン酸モサプリドによる薬物治療を行っていたが再発を防止できず、内科的治療に抵抗性と判断されていた。手術による治療も勧められ、当初患者は拒否していたが、頻回に繰り返すために手術治療を希望するようになり、77歳時に癒着剥離術を施行された。しかしその後も術後2ヶ月をはじめに、半年で3回の再発を認めた。患者が再手術に消極的であったが、通常の内科的治療も限界であると判断したため、エリスロマイシン400mgx2回/日の経口投与を導入したところ、その後再発なく良好な経過を得た。5ヶ月目に本人の希望があり、エリスロマイシン投与を中止したところ、中止後20日目に再発した。保存的治療後にエリスロマイシンを再開したが、再度イレウスを発症したため再手術となった。再手術後にエリスロマイシン継続投与を行ったところ、再燃なく経過している。 モチリンは消化管蠕動運動を促進するホルモンであるが、エリスロマイシンは「モチリン様作用」を有することが知られている。その「モチリン様作用」を狙いとしたエリスロマイシン投与が難治性癒着性イレウスに対して有効であるという報告が散見される。 今回内科的治療では頻回に繰り返す難治性癒着性イレウスに対してエリスロマイシンが奏効し、再発を防止できた一例を経験したので報告する。
索引用語 イレウス, エリスロマイシン