セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研17:

亜急性型劇症肝炎で発症した高齢者自己免疫性肝炎の1例

演者 芝原 友也(製鉄記念八幡病院)
共同演者 梶原 英二(製鉄記念八幡病院), 山下  尚毅(製鉄記念八幡病院), 大穂 有恒(製鉄記念八幡病院)
抄録  症例は82歳、女性。高血圧、喘息にて近医通院中で今までに肝障害を指摘されたことはなかった。入院2-3週間前より倦怠感と褐色尿出現し、入院前日に黄疸に気づき近医受診。血液検査で肝機能異常を認めたため2012年3月x日当院に紹介された。 入院時、TP 9.1 g/dl、 Alb 2.8 g/dl、 T.Bil 16.6 mg/dl、D.Bil 11.4 mg/dl、 AST 880 IU/L、ALT 711 IU/L、ALP 713 IU/l、γGTP 316 IU/l、WBC 4700/μl、Hb 13.8 g/dl、Plt 18.0x104/μl、PT 36.5 %、NH3 105 μg/dl、IgG 4608 mg/dl、 AFP 53.9 ng/ml、 抗核抗体 80倍、抗ミトコンドリアM2抗体(-)、HAV、HBV、HCV肝炎ウイルスマーカーは陰性。EBVおよびCMVは既往感染。腹部超音波検査では肝内外胆管に異常はみられず、腹部CTで肝萎縮を認めた。健康食品や新たな薬剤服用歴は認めなかった。翌日NH3 171 μg/dlと上昇し、羽ばたき振戦が出現し肝性脳症2度となった。自己免疫性肝炎による亜急性型の劇症肝炎と診断し、メチルプレドニゾロン1000mg、3日間のステロイドパルス療法を施行した。PTは改善傾向をみとめ、経口プレドニゾロン(PSL)を引き続き投与し、黄疸は消失し肝機能検査値は改善した。 PSL減量に伴いALTが軽度上昇したためアザチオプリン(AZP)を追加し、ALT値は正常化した。現在PSL 7.5 mgとAZP 50 mgで治療中である。 本例は亜急性型劇症肝炎で発症し、ステロイドパルス療法が奏効した高齢者自己免疫性肝炎症例である。高齢者での自己免疫性肝炎による劇症肝炎は比較的稀と考えられ、文献的考察を加え報告する。
索引用語 自己免疫性肝炎, 急性発症