セッション情報 一般演題

タイトル 023:

HIVキャリアーに合併した原因不明であった肝周囲炎の一男性例

演者 織部 淳哉(大分大学消化器内科)
共同演者 本田 浩一(大分大学消化器内科), 岩尾  正雄(大分大学消化器内科), 正 宏樹(大分大学消化器内科), 所 征範(大分大学消化器内科), 吉原 光江(大分大学消化器内科), 遠藤 美月(大分大学消化器内科), 清家  正隆(大分大学消化器内科)
抄録 症例は40歳代、男性。HIV感染で当院感染症内科に、甲状腺機能低下症で内分泌内科に通院していた。平成24年1月11日に突然右季肋部痛を自覚、感染症内科を受診してNSAIDsを処方され症状は軽減した。1月17日右季肋部痛が再燃して1月18日感染症内科を受診、腹痛の精査加療目的で当科紹介された。腹部造影CTで肝右葉被膜の早期濃染が認められ、肝周囲炎の疑いで当科へ緊急入院となった。入院時血液検査では白血球、CRPが軽度高値で、肝逸脱酵素は正常だった。絶食としてLVFX500mgの経口投与を開始、右季肋部痛にはペンタゾシンの静脈注射で対応した。入院2日後には症状は軽減し食事再開した。しかし、翌日には右季肋部痛が再燃、再び絶食とした。感染源を調べるため各種培養検査を行ったが陰性だった。症状が軽減して1月26日から食事を再開したが、右季肋部痛が再燃したため流動食と成分栄養剤で経過をみた。1月27日にはMEPM 1.5g/日の併用も開始した。1月29日疼痛が心窩部に移動、腹部造影CTでは肝被膜の早期濃染が肝外側区の腹側に認められた。その後症状は徐々に改善、普通食を再開しても疼痛の再燃がないことを確認して治療終了した。肝周囲炎の原因についてクラミジアや淋菌、寄生虫など検索したがいずれも陰性で感染源は不明だった。肝周囲炎はクラミジア等の病原体が骨盤内感染を経て肝被膜に至り発症することが知られている。解剖学的特徴から女性にみられることが多く、男性例の報告はまれである。本例ではクラミジア感染は否定的で原因は不明であったが、興味深い症例と思われ、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝周囲炎, HIV