セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 122:悪性腫瘍による下部食道から噴門部の狭窄に対し逆流防止弁付き食道ステントが著効した2例 |
演者 | 福森 光(阿久根市民病院 消化器病センターDELIMITER鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学) |
共同演者 | 紙屋 康之(阿久根市民病院 消化器病センター), 山崎 洋一(阿久根市民病院 消化器病センター), 米盛 圭一(阿久根市民病院 消化器病センター), 大西 峻(阿久根市民病院 消化器病センター), 坂元 昭彦(阿久根市民病院 消化器病センター), 崎田 浩徳(阿久根市民病院 消化器病センター), 今村 博(阿久根市民病院 消化器病センター), 田辺 元(阿久根市民病院 消化器病センター), 坪内 博仁(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学) |
抄録 | 【はじめに】下部食道から噴門部にかけて狭窄をきたす悪性腫瘍として食道癌・胃癌・食道胃接合部癌・悪性リンパ腫等があり,現在手術適応外症例に対しても化学放射線療法等で治療効果を期待できる症例が増えてきている.しかし,合併症・全身状態不良で積極的加療困難な症例・治療効果が得られない症例・患者希望等で緩和医療となる症例も依然多い.下部食道から噴門部領域の狭窄に対し従来のopen typeの食道ステントを留置するも,食道胃逆流症等の合併症でPSが悪化する症例も少なくなかった.今回我々は下部食道から噴門部にかけての悪性腫瘍に対し逆流防止弁付き食道ステントを留置し,QOLの改善を認めた症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.【症例1】85歳男性.下部食道癌化学療法後再発.噴門部への浸潤により狭窄をきたし通過障害を認める.PS1.緩和医療を希望され,経口摂取希望あり逆流防止弁付き食道ステント留置.水分摂取のみから,3分粥可能となり,永眠される直前まで経口摂取可能となった.【症例2】81歳男性.ATL噴門部病変により通過障害を認める.PS1.緩和医療希望され,経口摂取希望あり逆流防止弁付き食道ステント留置.流動食摂取から5分粥摂取可能となり,永眠される直前まで経口摂取可能となった.【考察】食道がん診断・治療ガイドライン(2012年4月版)では,胸部下部から腹部食道がんで,逆流防止弁付き食道ステントの効果が示唆されてる.ShimらによるRCTでは手技的には従来の食道ステント留置と差異はなく,嚥下障害・逆流症状の改善とともに24時間食道内pHモニタリングでの胃酸逆流の頻度の低下を認めている.福永らの報告でも,留置後有害事象認めず,永眠される直前まで経口摂取可能であった症例も報告されている.他に,出血・疼痛・誤嚥性肺炎の合併症,ステント逸脱・腫瘍浸潤による嚥下障害再燃の報告もある.【結語】悪性腫瘍による下部食道から噴門部狭窄に対し逆流防止弁付き食道ステントによるQOL改善を認めた症例を経験した. |
索引用語 | 食道ステント, 緩和医療 |