セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専24:

ステロイド依存・抵抗性およびインフリキシマブ無効の潰瘍性大腸炎に対してタクロリムスが奏効した2例

演者 徳丸 佳世(北九州市立医療センター 消化器内科)
共同演者 淀江 賢太郎(北九州市立医療センター 消化器内科), 小谷 大輔(北九州市立医療センター 消化器内科), 白 暁鵬(北九州市立医療センター 消化器内科), 荻野 治栄(北九州市立医療センター 消化器内科), 本田 邦臣(北九州市立医療センター 消化器内科), 井原 裕二(北九州市立医療センター 消化器内科), 秋穂 裕唯(北九州市立医療センター 消化器内科)
抄録 症例1は16歳男性。2011年発症の全結腸炎型のUCに対してPSL60mg/day,5-ASA(アサコール3.6g/day)で一時寛解するも,2012年4月PSL5mg/dayへ減量した時点でCAI score 13,Baron score 3と再燃となった。ステロイド依存性と判断し,infliximabによる寛解導入を行うも効果は持続せず,PSL30mg/dayへ増量するも血便,下痢などの症状は改善しなかった。2012年7月よりタクロリムスを導入したところ投与約1週間で自覚症状の改善がみられ,CAI score 3と寛解へと至ることができた。投与1ヶ月後のTCSでも粘膜治癒が得られタクロリムスが有効であると考えられた。症例2は38歳女性。2008年発症の全結腸炎型のUCに対して5-ASAを内服していたが増悪したため,2011年2月よりPSL40mg/日開始するも症状改善なくステロイド抵抗性と考えられた。2011年3月よりinfliximab導入し一時寛解となりPSL10mg/dayまで減量できていた。 2011年11月に帯状疱疹に罹患後より症状増悪しPSLを30mg/dayへ増量,G-CAPを施行するも症状改善はなかった。CMV合併を認めアシクロビル投与にて症状は一旦改善傾向となった。Infliximabは皮疹出現のため2011年12月より中止とし,PSLを減量しながら経過をみたが,2012年6月PSL5mg/dayまで減量した時点で症状が再燃した(CAI score 16,Baron score 3)。Infliximabを再開したがinfusion reactionを起こしたため中止し,2012年7月よりタクロリムスを導入したところ,投与後約1週間で自覚症状の改善がみられCAI score2と寛解へと至ることができた。ステロイドやinfliximabが無効となった症例においてタクロリムスの導入が有効と思われた2例を経験した。タクロリムスの有効性について若干の文献考察を加え報告する。
索引用語 タクロリムス, 潰瘍性大腸炎