セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研04:

高分化型肝細胞癌との鑑別が困難であったfocal fatty changeの1例

演者 浦 祐次郎(九州医療センター 肝胆膵外科)
共同演者 高見 裕子(九州医療センター 肝胆膵外科), 立石 昌樹(九州医療センター 肝胆膵外科), 龍 知記(九州医療センター 肝胆膵外科), 和田 幸之(九州医療センター 肝胆膵外科), 才津 秀樹(九州医療センター 肝胆膵外科)
抄録 【症例】69歳、女性。【現病歴】40歳頃より慢性B型肝炎に対して近医でウルソ内服のみにて経過観察されていた。2012年3月腹部超音波検査にて肝S6に12mm大の低エコー腫瘤を指摘され、精査加療目的に当院紹介となった。【入院時検査成績】Alb:3.8g/dl, T-bil:0.8mg/dl, PT:94%, ICG R15:15.3%(Child-Pugh:5点、Liver damage:A) AFP:5.2ng/ml, L3分画:検出不能, PIVKA-II:20mAu/ml, HBsAg(+), HBsAb(-), HBeAg(-), HBeAb(+), HBcAb(+), HCV(-)【各種画像検査】腹部超音波検査にて肝S6に12mm大の辺縁ほぼ整、境界明瞭、内部ほぼ均一なhypoechoic lesionを認めた。造影CTでは動脈相、静脈相のいずれの相でも肝実質と相対的に低吸収を呈する境界明瞭な結節性病変として描出された。EOB造影MRIでは同腫瘤はT1WI脂肪抑制画像にて淡く信号低下を示し、脂肪を含有する結節と考えられた。動脈相では周囲肝実質と等信号、静脈相では低信号。肝細胞相では淡い低信号であった。以上より高度異形結節または高分化型肝細胞癌を疑い腫瘍生検を施行したところ、borderline lesionとの結果であった。肝癌の可能性を完全には否定できないために手術を行うこととなり、S6亜区域切除術を施行した。【術後病理診断】腫瘍割面の肉眼所見は黄白色であり小結節を内包する境界不明瞭な腫瘤であった。組織学的にはH.E.染色では核の異形、細胞密度の増加などの悪性所見は認めず、既存の門脈域を内包していた。施行した特殊免疫染色にてもAFP、Glypican-3はいずれも陰性であり、最終組織学的診断はfocal fatty changeであった。【まとめ】今回、われわれは高分化型肝細胞癌との鑑別が困難であったfocal fatty changeの1例を経験した。若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝細胞癌, 脂肪変性