セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研38:

簡易リザーバーを用いた抗生剤の肝動注療法により改善した肝膿瘍の一例

演者 佐々木 研輔(公立八女総合病院内科)
共同演者 永松 洋明(公立八女総合病院内科), 堤 翼(公立八女総合病院内科), 丸岡 浩人(公立八女総合病院内科), 平井 真吾(公立八女総合病院内科), 城野 智毅(公立八女総合病院内科), 徳安 秀紀(公立八女総合病院内科), 吉田 博(公立八女総合病院内科), 鳥村 拓司(久留米大学消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学消化器内科)
抄録 【はじめに】化膿性肝膿瘍に対する治療は経皮的ドレナージと抗生剤投与が一般的である。今回我々は、経皮的膿瘍穿刺にて化膿性肝膿瘍と診断され、抗生剤の経静脈投与を行うも効果なく、肝動注することで良好な経過が得られた症例を経験したので報告する。【症例】40歳、男性。2012年5 / 13より腹痛出現、5 / 14から38℃台の発熱がみられ5 / 15当院受診した。血液検査にて炎症反応の上昇( WBC 16400 /μL、CRP 21.34 mg/dL )を認めた。同日の腹部造影CTにて、肝S5に径30mm大の低吸収域あり、腹部MRIの所見とあわせ肝膿瘍と診断された。抗生剤投与( SBT/CPZ 1g×2 /dayを5 /15から5 / 20 )を行うも熱型・炎症反応に有意な改善なく( WBC 13900/μL 、CRP 20.70mg/dL )、5 / 22に 肝膿瘍穿刺を施行した。肝膿瘍は径50mmと増大していたが、膿汁は2mLのみ吸引され( 膿汁の細菌培養は陰性 )、ドレナージチューブの留置は困難であった。5 / 21より抗生剤をCFPM 1g×3へと変更するも改善なく、5 / 23に簡易リザーバーを肝動脈内へ留置し、抗生剤の肝動注(CTRX 2g×1/dayを 5 / 23から6 / 4 )を開始した。開始後3日目に解熱し、7日目には炎症反応の低下(WBC 8400/μL、CRP 1.31mg/dL )も認めた。14日目の腹部造影CTでは肝膿瘍部は径60mmと増大を認めたが隔壁が形成されていた。発熱もなく、炎症反応はさらに低下(WBC 7500/μL、CRP 0.64mg/dL )を認め、抗生剤の肝動注投与を終了し、簡易リザーバーを抜去した。その後も炎症は再燃することなく6 / 9に退院となった。7 / 25の腹部エコーでは膿瘍は消失し、CRPは正常化した。【まとめ】経静脈的に抗生剤投与では効果がみられなかったが、抗生剤の肝動注にて速やかな症状・炎症所見の改善が得られた。肝動脈から直接投与することで肝組織の濃度が上昇するとされており、膿瘍ドレナージが困難な場合や経静脈の抗生剤投与が不応な場合は有効な治療法と考えられた。
索引用語 肝膿瘍, 抗生剤肝動注