セッション情報 一般演題

タイトル 031:

膵腺扁平上皮癌の3切除例

演者 龍 知記(九州医療センター 肝胆膵外科)
共同演者 高見 裕子(九州医療センター 肝胆膵外科), 立石 昌樹(九州医療センター 肝胆膵外科), 和田 幸之(九州医療センター 肝胆膵外科), 河邉 顕(九州医療センター 消化器科), 才津 秀樹(九州医療センター 肝胆膵外科)
抄録 【はじめに】膵腺扁平上皮癌は膵癌の中でもまれな組織型であり非常に予後不良である。今回当科で経験した膵腺扁平上皮癌の3切除例について報告する。【症例1】74歳、男性。皮膚黄染を主訴に他院受診。膵頭部癌による閉塞性黄疸の診断にてPTBD後に当院紹介。腹部造影CTにて膵頭部に軽度の漸増性の増強効果を認める20mm大の低吸収腫瘤を認め、門脈造影にてSMVにencasementを認めた。CEA:3.5ng/ml, CA19-9:228IU/ml, DUPAN-2:260U/ml, SPAN-1:97U/ml。膵頭部癌の診断にて門脈合併膵頭十二指腸切除術を施行。Ph,TS2,T4,CH(+),DU(-),S(-),RP(+),PV(+),A(-),PL(+),OO(-),N1,M0,fStageIVa。GEMによる術後補助化学療法を行うも、術後5ヶ月目に腹膜播種再発を認め、術後8ヶ月目に癌死。【症例2】83歳、男性。急性膵炎後の膵仮性嚢胞にて経過観察中であった。嚢胞は徐々に縮小傾向であったものの増大傾向に転じ、腫瘍マーカーの増大を認めた。腹部造影CTにて膵尾部に隔壁様構造を伴う9cm大の多房性腫瘤を認め、上部消化管内視鏡検査にて腫瘤の胃体上部後壁への浸潤と腫瘍からの出血を認めた。CEA:5.7ng/ml, CA19-9:1IU/ml, DUPAN-2:1600U/ml, SPAN-1:19U/ml。膵体部癌の診断で脾臓合併膵体尾部切除、噴門側胃切除術を施行。Pt,TS4,T4,CH(-),DU(-),S(+),RP(+),PVsp(+),Asp(+),PL(+),OO(+:stomach and spleen),N2,M0,fStageIVb。術後1ヶ月目に多発肝転移を認め、術後2ヶ月目に癌死。【症例3】79歳、女性。糖尿病にて近医加療中に上腹部痛を認め当院紹介。腹部造影CTにて膵頭部に24mm大の腫瘍辺縁は早期より造影されるも内部は造影効果の乏しい腫瘍を認め主膵管は数珠状に拡張していた。CEA:4.1ng/ml, CA19-9:560IU/ml, DUPAN-2:120U/ml, SPAN-1:140U/ml。膵頭部癌の診断にて膵頭十二指腸切除術を施行。Ph,TS2,T3,CH(-),DU(+),S(-),RP(+),PV(-),A(-),PL(-),OO(-),N0,M0,fStageIII。術後にGemcitabine投与中であり、術後7ヶ月無再発生存中。【考察】膵腺扁平上皮癌の治療は外科切除が第一選択とされているが、外科切除後の予後は約6ヶ月とされておりきわめて予後不良である。文献的考察も加えて考察する。
索引用語 膵腺扁平上皮癌, 膵癌