セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専03:

孤立性皮膚転移をきたした肝細胞癌の1例

演者 森 遼(国立病院機構九州医療センター 肝胆膵外科)
共同演者 高見 裕子(国立病院機構九州医療センター 肝胆膵外科), 立石 昌樹(国立病院機構九州医療センター 肝胆膵外科), 龍 知記(国立病院機構九州医療センター 肝胆膵外科), 和田 幸之(国立病院機構九州医療センター 肝胆膵外科), 才津 秀樹(国立病院機構九州医療センター 肝胆膵外科DELIMITER国立病院機構九州医療センター 臨床研究部), 桃崎 征也(国立病院機構九州医療センター 病理)
抄録  肝細胞癌(HCC)の遠隔転移の中で皮膚転移は非常に稀である。今回、われわれはHCCの孤立性皮膚転移を経験したので報告する。 症例は87才、女性。2010年11月、肝S5に4cmのHCCを認め近医より当院消化器内科に紹介となった。86才と高齢のため、手術は希望されず、肝動脈化学塞栓術(Lip-TACE)を選択された。2010年12月、2011年4月と2度にわたりLip-TACEを施行されるも局所制御が十分に得られず、本人と家族にinformed consentを行った上で手術を希望されたため、当科紹介となった。2011年5月、マイクロ波凝固壊死療法(MCN)施行した。術前肝機能は alb 4.4 g/dl, T.Bil 0.6 mg/dl, PT 109%, ICG15分値 18.7%と良好であった。術前腫瘍マーカーはAFP 341 ng/ml、AFP-L3分画 22.2%、PIVKA-II 21 mAU/ml。病理診断は、索状型の中分化型HCCであった。2011年12月、創部から離れた右側胸部に10×10×5mmの皮膚腫瘍を認めた。半円形、辺縁整、弾性硬、軽度発赤調で可動性良好な腫瘍であった。他に皮膚腫瘍は認めず孤立性皮膚転移を疑い、皮膚腫瘍摘出術を施行した。病理組織は、索状配列を呈するHCCであり、HCCの皮膚転移と診断された。腫瘍マーカーは、初回術前高値であったAFP、AFP-L3分画はMCN後には基準値内にまで低下し、腫瘍摘出時もAFP 14.9 ng/ml、AFP-L3分画 4.2%、PIVKA-II 12 mAU/mlと基準値内であった。その後、MCN部断端再発を認めたため、2012年7月にMCN施行した。この際、全身の皮膚をくまなく検索するも、他には皮膚転移再発は認められなかった。 HCCの孤立性皮膚転移は非常に稀であるため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝細胞癌, 皮膚転移