セッション情報 一般演題

タイトル 063:

膵炎後の膵仮性嚢胞にて生じた十二指腸閉塞が長期保存的加療により改善した一例

演者 馬場 真二(朝倉医師会病院 消化器内科)
共同演者 梶原 雅彦(朝倉医師会病院 消化器内科), 鈴木 稔(朝倉医師会病院 外科), 則松 宏(朝倉医師会病院 消化器内科), 矢野 徹(朝倉医師会病院 消化器内科), 田口 順(朝倉医師会病院 消化器内科), 石井 邦英(朝倉医師会病院 消化器内科), 上野 隆登(朝倉医師会病院 消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
抄録 【はじめに】急性膵炎の合併症として膵仮性嚢胞を来すことはよく知られているが今回我々は膵仮性嚢胞による圧迫、周囲への炎症の波及により十二指腸閉塞をきたし外科的に手術加療が予定されていたが長期保存的加療により改善が得られた症例を経験したので報告する。【症例】61歳男性。【既往歴】41歳ネフローゼ微小変化群、アルコール性肝障害。61歳胃潰瘍。【嗜好品】アルコール 焼酎2合/日。喫煙 40本/日。【経過】平成24年4月25日に焼酎5合ほど飲酒後より心窩部痛を認め翌日当院受診。アルコール性急性膵炎の診断にて入院を勧められるが帰宅。その後も症状持続するため4月28日に当院入院。予後因子1、CT grade2のアルコール性急性膵炎であった。入院後より抗生剤、PI剤の投与開始。炎症所見は速やかに改善。しかし入院後9日目より吃逆、悪心嘔吐出現し11日目の腹部CTで膵体尾部に膵仮性嚢胞の形成、嚢胞による圧迫、周囲への炎症波及にて十二指腸水平脚で閉塞を認めた。S-tubeによる減圧、絶食、TPNで経過をみるが閉塞症状改善認められず。入院後32日目の上部消化管造影でも十二指腸水平脚は完全閉塞のままでありBypass術等外科的治療の適応と考えられたが、入院後42日目tubeからの排液量の減少を認め、腹部レントゲン検査で大腸にガス像を認めた。翌日の上部消化管造影検査では前回閉塞していた十二指腸水平脚を超えて肛門側空腸まで流出。狭窄部はまだ浮腫様で炎症は残存している可能性高いが通過障害は改善していると判断。このため予定されていた手術は中止となる。入院後44日目より経口摂取を水分、液体より再開。また腸管粘膜萎縮改善のためグルタミンFを投与。その後固形物の摂取(入院後46日目)が行われるも順調に経過。ほぼ充分量の経口摂取可能となる。膵炎症状の再燃も認めず。状態安定しているため平成24年6月21日(入院後55日目)当院退院。【考察と結語】本症例は急性膵炎に併発する膵仮性嚢胞の病態を考える上で興味深い症例と考えられ若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 膵仮性嚢胞, 十二指腸閉塞