セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研55:

ステロイド・免疫抑制剤併用にて加療を行ったIgG4関連後腹膜線維症の1例

演者 西澤 夏將(北九州総合病院総合内科)
共同演者 染谷 一貴(北九州総合病院総合内科), 春田 康宏(北九州総合病院総合外科), 藤村 彰(北九州総合病院総合内科), 赤嶺 摩依(北九州総合病院総合内科), 餘家 浩樹(北九州総合病院総合内科), 友田 義崇(北九州総合病院総合内科), 山本 龍治(北九州総合病院総合内科), 黒瀬 龍彦(北九州総合病院総合内科), 木原 康之(北九州総合病院総合内科), 坂本 喜彦(北九州総合病院総合外科), 高水間 亮治(北九州総合病院総合内科), 永田 直幹(北九州総合病院総合外科)
抄録 症例は78歳、男性。某年5月より食欲低下、上腹部から臍周囲の違和感および便秘を主訴に当院受診し、精査・加療目的に入院となった。血液検査にてIgG4高値(422mg/dl)、腹部造影CTにて腎動脈分岐部から両側総腸骨動脈・両側内腸骨動脈にかけての高度の後腹膜肥厚を認め、さらに、後腹膜生検にてIgG4陽性細胞は目立たなかったが、リンパ球および形質細胞の浸潤および特徴的な閉塞性静脈炎の所見を認めたことより、IgG4関連後腹膜線維症と診断。診断確定後より、プレドニゾロン0.6 mg/kgおよびアザチオプリンでの加療を開始した。治療開始後より症状は消失し、経時的に後腹膜肥厚は改善しており、アザチオプリン継続の上、ステロイド漸減を行っているが再燃なく経過している。IgG4関連疾患の治療にはステロイド単剤での治療が一般的であるが、ステロイド減量中の再燃・疾患活動性の上昇を認める症例も多く、ステロイドの少量維持が行われていることも少なくない。ステロイドの長期投与により、感染症リスクの増大や、動脈硬化性疾患、骨粗鬆症など多くの治療関連合併症を認め、長期的には余命の短縮につながる可能性がある。早期からの免疫抑制剤併用による、疾患活動性制御およびステロイド長期投与による合併症防止により、長期予後の改善につながることが期待される。しかし、免疫抑制剤併用による疾患活動性制御には、明確なエビデンスがなく、また、免疫抑制剤併用による過剰な免疫抑制や日和見感染症の危険性もあり慎重な薬剤選択・投与が必要である。既報を踏まえ本症例の検討を行い、免疫抑制剤併用の可否の検討を行う。
索引用語 後腹膜線維症, IgG4関連疾患