セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研43:

画像上診断に苦慮した肝内胆管癌の1例

演者 嶋田 隆志(健康保険諌早総合病院)
共同演者 田渕 聡(健康保険諌早総合病院), 佐藤 綾子(健康保険諌早総合病院), 持永 浩史(健康保険諌早総合病院), 飛永 修一(健康保険諌早総合病院), 小松 英明(健康保険諌早総合病院), 村岡 昌司(健康保険諌早総合病院), 山口 広之(健康保険諌早総合病院), 君野 孝二(健康保険諌早総合病院), 大場 一生(健康保険諌早総合病院), 福島 文(健康保険諌早総合病院), 中島 正洋(長崎大学)
抄録 【はじめに】今回、画像的にも診断に苦慮した肝内胆管癌の1例を経験したので報告する。【症例】患者は78歳、男性。58歳時、C型慢性肝炎の診断受けるも治療歴なし。71歳時、右腎細胞癌に対して腎部分切除術が施行され、以後定期検査を受けていた。2012年5月の定期的腹部CT検査で肝S5の胆嚢と接する肝実質部の径2cm程度のLDAを指摘された。造影CTでは腫瘤は辺縁より造影され、後期相では周囲肝実質とほぼ同等の造影効果を認め、血管腫にも似た造影パターンであった。MRIではT1WIで低信号、T2WIで軽度高信号を示し、拡散強調画像では比較的強い高信号を示した。造影後は早期濃染し、後期相でwash outされてCT時とは異なる造影パターンであった。T2WIでの信号があまり高くなく、血管腫として典型的でなく dynamic studyでの後期相のwash outからはHCCも疑われた。後見的に見なおすと2009年5月のCTから小さなLDAを追認することが可能であったが、逆に転移も含め悪性腫瘍とすると増大速度がかなり緩徐な印象であった。患者と相談のうえ2012年8月 肝部分切除術を行った。病理学的検索では、腫瘍部分は明かな被膜形成や隔壁形成は無く、内部には濃染腫大核を有する異型細胞が小型不規則腺管形成性に浸潤性増生しており,中分化型の腺癌:肝内胆管癌[mass forming type,H1 St-A, 2.4cm, eg, fc(-),sf(-),s1,pN0,vp1,vv0,va0,b0,sm(-),CH,F1~2] pT3N0M0 pStage3 と診断された。【まとめ】昨今、同時性、異時性重複癌患者の増加は著しく、その他多くの成人病的疾患を抱える肝腫瘍患者を診療する機会が増え,画像診断的にも苦慮することが多い。今回の画像所見、病理所見を再検討し文献的考察を踏まえ報告したい。
索引用語 肝内胆管癌, 画像診断