セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 105:限局性結節性過形成を有するグラフトを用いた生体肝移植の1例 |
演者 | 木村 光一(九州大学大学院消化器・総合外科) |
共同演者 | 調 憲(九州大学大学院消化器・総合外科), 副島 雄二(九州大学大学院消化器・総合外科), 吉住 朋晴(九州大学大学院消化器・総合外科), 池上 徹(九州大学大学院消化器・総合外科), 山下 洋市(九州大学大学院消化器・総合外科), 播本 憲史(九州大学大学院消化器・総合外科), 戸島 剛男(九州大学大学院消化器・総合外科), 吉屋 匠平(九州大学大学院消化器・総合外科), 中川原 英和(九州大学大学院消化器・総合外科), 川崎 淳司(九州大学大学院消化器・総合外科), 松本 佳大(九州大学大学院消化器・総合外科), 池田 哲夫(九州大学大学院消化器・総合外科), 前原 喜彦(九州大学大学院消化器・総合外科) |
抄録 | 【はじめに】生体肝移植のドナーは解剖学的問題や年齢、併存疾患など極めて厳しい基準を基に選択されるべきであるが、実際の臨床では判断に難渋することも少なくない。今回我々はFNHの存在するグラフトを用いた成人間生体肝移植を経験したので報告する。【症例】患者は51歳女性、自己免疫性肝炎による肝硬変に対し近医にて加療中、肝機能異常の増悪(Child-Pugh score 10点 gradeC、MELD score 13points)を認めた。非代償性肝硬変、肝細胞癌(ミラノ基準内)の診断となり、生体肝移植術目的に当科紹介となった。ドナーは26歳男性で、レシピエントの長男。術前の腹部CTにて肝外側区域に20mm大の腫瘤を認め、FNHが強く疑われた。術前肝生検を施行し、線維性の中心瘢痕と細動脈の増生を伴う肝細胞の過形成を認め、FNHの診断となった。長男以外のドナー適格者が存在しなかったため、九州大学肝移植小委員会の承認を得た後、FNHを含む拡大左葉+尾状葉グラフト(GV:421g、GV/SLV:34.4%)を用いた成人間生体肝移植術を施行した。3D volumetryにおける容積測定の結果、生体肝移植術施行後の肝再生は、術後半年で元来のGVの421mlから1405mlと334%の良好な肝再生を得た。その一方で、FNHの大きさは術前3.7mlであったものが術後半年で4.1mlとその容積に大きな変化は見られなかった。すなわち、術後に順調な肝再生が得られたが、FNHに明らかな変化は認めなかった。【まとめ】FNHは限局性の血行異常による肝細胞の過形成と定義されている。腫瘍性病変ではないものの、5cm以上の径の大きなものでは少数ながら自然破裂例も報告されているため、生体肝移植ドナー選択としては慎重にすべきである。したがって、本症例のごとく径の小さなものではドナーとしての禁忌とはならないと考える。しかしながら、FNHの変化に対し今後も厳重な経過観察が必要である。 |
索引用語 | 生体肝移植, 限局性結節性過形成 |