セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専59:

膵仮性嚢胞を伴った自己免疫性膵炎と思われる3例

演者 三木 正美(独立行政法人国立病院機構 小倉医療センター 消化器内科)
共同演者 山口 裕也(独立行政法人国立病院機構 小倉医療センター 消化器内科), 澄井 俊彦(独立行政法人国立病院機構 小倉医療センター 消化器内科), 秋吉 大輔(独立行政法人国立病院機構 小倉医療センター 消化器内科), 山縣 元(独立行政法人国立病院機構 小倉医療センター 消化器内科)
抄録 【はじめに】自己免疫性膵炎の画像所見は膵周囲の被膜様構造(capsule-like rim:CLR)が特徴的で仮性嚢胞の合併は少ない。今回、膵周囲に仮性嚢胞を形成した自己免疫性膵炎(AIP)を3例経験し、いずれもステロイド治療にて仮性嚢胞の縮小・消失を認めたので文献的考察を含め報告する。【症例1】62歳男性。飲酒歴なし。左胸部痛で受診しCTで気胸と診断され、同時に膵体尾部腫大と体尾部に6×4cmの仮性嚢胞を認めElastase-1(Ela-1) 1418ng/dlより膵炎と診断した。膵の一部にCLRを認めたため、AIPを疑い検査したところ、IgG1359mg/dl、IgG4 229mg/dl、ANA 80倍、IgE 438IU/mlでありAIPと診断。ステロイド内服開始2ヶ月後に仮性嚢胞と膵腫大は消失した。【症例2】62歳男性。飲酒歴なし。左上腹部痛で発症(Ela-1 640)、原因不明の急性膵炎を繰り返していた。CTでCLRの他、膵尾部に8cm大の仮性嚢胞を認めた。IgG 1406、ANA陰性、IgG4 237、IgE 1160と高値でありAIPと診断。ステロイド内服後に仮性嚢胞は35mmに縮小した。【症例3】66歳男性。飲酒歴は焼酎1日3合×30年間。左上腹部痛で発症(Ela-1 1971)。CTでCLRと膵尾部12×6cmの仮性嚢胞を認めた。IgG 1135、IgG4 150、ANA 320倍、IgE 755であった。ステロイド内服後に仮性嚢胞の消失を認めた。【結語】3例はいずれも大きな仮性嚢胞を伴い、ステロイド治療開始後に嚢胞の縮小・消失を認めた。また、全例血清IgG4とともに血清IgE上昇を認めた。急性膵炎発症後に仮性嚢胞を合併する膵炎発作は珍しくないが、原因が明らかでない症例の中にはAIPが存在することを常に考慮しておく必要がある。
索引用語 自己免疫性膵炎, 仮性嚢胞