セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専91:後腹膜血腫を契機に見つかった腹腔動脈狭窄症の1例 |
演者 | 前田 洋恵(福岡大学病院消化器外科) |
共同演者 | 愛洲 尚哉(福岡大学病院消化器外科), 山田 和之介(福岡大学病院消化器外科), 真島 悟(福岡大学病院放射線科), 高良 真一(福岡大学病院放射線科), 松岡 信秀(福岡大学病院消化器外科), 佐々木 隆光(福岡大学病院消化器外科), 乗富 智明(福岡大学病院消化器外科), 山下 裕一(福岡大学病院消化器外科) |
抄録 | 症例は66歳女性。右下腹部痛を主訴に近医受診し、後腹膜血腫を指摘され当科紹介となった。腹部造影CTで、後腹膜血腫とその前方に動脈瘤と思われる所見を認め、動脈瘤破裂による後腹膜血腫と診断した。動脈瘤破裂に対し、血管造影および動脈塞栓術を施行した。血管造影検査では上腸間膜動脈からの造影で膵アーケード、胃十二指腸動脈を介して固有肝動脈が描出された。腹腔動脈からの造影では胃十二指腸動脈は求肝性血流のため描出されず、固有肝動脈より末梢は淡く描出された。第一空腸動脈からの造影で前下膵十二指腸動脈の上腸間膜動脈側基部に径10.1mmの動脈瘤を認めた。血管内に器質的病変はなく、正中弓状靭帯の圧迫による腹腔動脈狭窄症、それに伴う前下膵十二指腸動脈の動脈瘤と診断した。経カテーテル的に動脈瘤に対し塞栓術を行った。その後、動脈瘤再発予防目的に腹腔鏡補助下に弓状靭帯開放術を施行した。術中Doppler USを用いた評価では、peak flowは改善した。術後3ヶ月目に施行した腹部大動脈3DCTでは動脈瘤の再発は無く、腹腔動脈狭窄の改善を認めた。腹腔動脈狭窄による動脈瘤形成は、1996年から2011年までに国内での報告例は16例であった。今回、我々は後腹膜血腫を契機に発見された、前下膵十二指腸動脈瘤および腹腔動脈狭窄症に対し、経カテーテル的に動脈瘤塞栓術と腹腔鏡補助下弓状靭帯開放術を施行し良好な経過を認めたため、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 腹腔動脈狭窄症, 動脈瘤 |