セッション情報 一般演題

タイトル 064:

酢酸オクトレオチドの投与で軽快した膵性胸水、膵性腹水の1例

演者 福田 容久(福岡徳州会病院消化器内科)
共同演者 滝沢 直歩(福岡徳州会病院総合内科), 篠崎 香苗(福岡徳州会病院消化器内科), 薦田 みのり(福岡徳州会病院消化器内科), 太田 励(福岡徳州会病院消化器内科), 樋口 裕介(福岡徳州会病院消化器内科), 中川 元道(福岡徳州会病院消化器内科), 阿部 太郎(福岡徳州会病院消化器内科), 永田 克己(福岡徳州会病院消化器内科), 仲道 孝次(福岡徳州会病院消化器内科), 眞武 弘明(福岡徳州会病院消化器内科DELIMITERまたけ内科胃腸科クリニック)
抄録 症例はADL自立の36歳男性。30歳時にアルコール性急性膵炎の既往があり大酒家である。17日前からの水様性下痢と腹部膨満を主訴に当院消化器内科外来を受診した。身体所見では腹部膨満がみられ波動を触知するが、軟で圧痛を認めなかった。血液検査では炎症反応の上昇と膵逸脱酵素の上昇を認めた。胸腹部造影CTでは両側の胸水と大量の腹水を認めた。また膵頭部に石灰化を認め、膵体部で膵管が断裂し腹側に膵液漏を疑う所見を認めた。また胸水と腹水はともに血性で、膵逸脱酵素の著明な上昇を認めた。両側胸水と腹水の精査加療目的で入院し、絶食とし中心静脈栄養を開始した。胸水と腹水の細菌培養は陰性で、細胞診でも悪性細胞の検出はなかったため膵液漏に伴う膵性胸腹水を疑った。入院後も胸水貯留が増大し胸腔ドレナージを施行しなければならなくなったため、酢酸オクトレオチド300μg/日の皮下注射を開始した。投与開始後に胸腹水の貯留は減少していき、投与開始後12日目の胸腹部単純CT所見で胸腹水はほぼ消失した。その後、ERCPを施行したが、膵体部の主膵管狭窄がみられたが膵液漏の所見は認めなかった。経副乳頭的にENPDを3日間留置し膵液細胞診を提出したが、悪性細胞の検出はなかった。経口摂取の開始後で、胸腹水貯留は認めず退院した。アルコール性慢性膵炎を基礎疾患として、膵管断裂に伴う膵液漏による膵性胸水、膵性腹水の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 膵性胸水, 膵性腹水