セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専09:

抗血小板療法中の血友病A患者に発症した非外傷性小腸壁内血腫の1例

演者 宮里 公也(琉球大学附属病院 光学医療診療部)
共同演者 仲松 元二郎(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 島袋 耕平(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 富里 孔太(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 大平 哲也(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 伊良波 淳(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 金城 徹(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 小橋川 ちはる(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 井濱 康(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 武嶋 恵理子(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 知念 寛(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 前城 達次(琉球大学医学部 第1内科), 山城 剛(琉球大学附属病院 輸血部), 岸本 一人(琉球大学医学部 第1内科), 仲本 学(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 平田 哲生(琉球大学医学部 第1内科), 金城 渚(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 外間 昭(琉球大学医学部 第1内科), 金城 福則(琉球大学附属病院 光学医療診療部), 藤田 次郎(琉球大学医学部 第1内科)
抄録 非外傷性小腸壁内血腫は抗凝固療法の副作用や出血性素因を有する患者で発症することがある比較的まれな疾患で、抗血小板療法中の患者にも発症するとされる。主な症状は通過障害による腹痛、悪心、嘔吐であり、血腫の大きさにより絞扼性イレウスを発症し外科的治療が必要となる場合もある。今回我々は、抗血小板療法中の血友病患者に非外傷性小腸壁内血腫を発症し、内科的治療にて改善を得た症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
症例は47歳男性。血友病A(第VIII因子製剤補充中)、非加熱製剤によるHIV感染症で外来加療中のところ、2008年に狭心症に対し経皮的冠動脈形成術が行われ、以後アスピリン10mg/dayを内服中であった。2012年7月6日に上腹部痛、下痢、嘔吐、腹部膨満感が出現。翌日より黒色便も認め、徐々に症状悪化し経口摂取が困難となり、7月10日に当科入院となった。腹部レントゲン検査では腸閉塞を疑う所見なく、上部消化管内視鏡検査でも十二指腸下行脚までには原因となる病変を認めなかった。腹部造影CT検査にて上部空腸に全周性の著明な壁肥厚を認め、その内部は3層構造(high-low-high pattern)を呈していた。腹部外傷の既往なく、血友病による出血性素因(第VIII因子活性 19%、APTT 63.6 sec)あり、また抗血小板療法中であることから非外傷性小腸壁内血腫と診断した。絶食、補液および第VIII因子製剤の投与を行い症状は改善し、経口摂取後も症状再燃は認めなった。7月19日に再度腹部造影CT検査を行い、小腸壁内血腫が縮小していることを確認した。
本症例は血友病Aに狭心症を合併し抗血小板療法が行われていたため、非外傷性小腸壁内血腫を発症するリスクは通常より高かったと考えられた。出血性素因を有する患者では、鑑別として消化管壁内血腫も念頭に置き早期の診断、治療が重要である。
索引用語 非外傷性小腸壁内血腫, 血友病