セッション情報 ワークショップ「消化器疾患と生活習慣(病)」

タイトル W1-10:

切除不能進行膵癌の集学的治療における膵内外分泌機能障害(膵性糖尿病、消化吸収障害)の管理の重要性

演者 河邉 顕(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター)
共同演者 藤森 尚(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 寺松 克人(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 黒川 美穂(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 岩田 真悠子(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 中村 吏(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 吉本 剛志(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 国府島 庸之(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 福嶋 伸良(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 山口 恵梨子(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 柿ヶ尾 佳奈(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 岡本 梨沙(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 原口 和大(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 隅田 頼信(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 福泉 公仁隆(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 原田 直彦(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 中牟田 誠(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 伊藤 鉄英(九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科)
抄録 【目的】切除不能進行膵癌に対する集学的治療における膵内外分泌補充療法の有効性について検討した。【方法】2009年から2011年に当科で治療した切除不能進行膵癌47例(平均年齢69.1歳、男女比21:26、IVa11例、IVb36例)について、一次・二次治療成績をretrospectiveに解析した。さらに、糖尿病の有無、糖尿病治療法、膵酵素消化剤投与の有無についても同様に解析した。【結果】全47症例の全生存期間(OS)は中央値(MST)6.5ヶ月、病期別では、IVb群と比較してIVa群で有意にMSTの延長を認めた(18 vs. 6.4, p=0.0023)。IVa群では一次治療9例、BSC2例であり、治療群においてMSTの有意な延長が得られたが(p=0.0004)、治療別では放射線化学療法と化学療法の間に差がなかった(p=0.85)。二次治療への移行症例は6例(MST; 18)、BSC 1例、一次治療継続2例である。IVb群では、一次治療29例、BSC7例であり、治療群で良好なMSTが得られた(6.4 vs. 3, p=0.41)。一次治療不応後に二次治療へ移行した症例は、抗癌剤変更6例、BSC 18例で、5例は一次治療継続中である。BSC移行群と比較して、二次治療群では良好なMSTが得られた(7.4 vs. 3.5, p=0.12)。次に膵内外分泌機能に着目した。糖尿病(DM)症例は全46例中16例で、DM群と非DM群のOSを比較して中央値では差を認めないが、平均値では非DM群が長い傾向にあった(6.6 vs. 9.5, p=0.26)。DM治療別では、経口薬群と比較してインスリン群で良好なMSTが得られた(7.5 vs. 3.7, p=0.51)。また、消化酵素剤投与群と非投与群ではOSに差を認めなかったが、消化酵素投与後の血清アルブミン値の経過で上昇・維持した群と低下した群を比較すると、上昇・維持群において有意に予後の延長を認めた(17.8 vs.5.6, p=0.0011)。【結論】切除不能進行膵癌の治療において、膵内外分泌機能に考慮したQOLの維持改善は、化学療法の長期投与を可能とし、十分な治療効果につながると考えられた。
索引用語 膵癌, 糖尿病