セッション情報 一般演題

タイトル 019:

急性増悪を呈した多結節性肝細胞癌に対してソラフェニブ併用ミリプラチン肝動注療法が奏効した1例

演者 城野 智毅(公立八女総合病院内科)
共同演者 永松 洋明(公立八女総合病院内科), 堤 翼(公立八女総合病院内科), 丸岡 浩人(公立八女総合病院内科), 平井 真吾(公立八女総合病院内科), 徳安 秀紀(公立八女総合病院内科), 吉田 博(公立八女総合病院内科), 佐田 通夫(久留米大学消化器内科)
抄録 【はじめに】多発性肝細胞癌において肝動脈塞栓術(TACE)や肝動注化学療法(HAIC)が不応で急性増悪した場合、ソラフェニブが用いられるようになってきた。今回、HAIC開始後2年経過し、急性増悪を来たした多発肝細胞癌に対してソラフェニブを併用したミリプラチンのHAICが奏効した1例を経験したので報告する。【症例】60歳、男性。C型肝硬変に対して経過観察中、2009年1月多発肝細胞癌に対して肝外側区域切除施行。2009年6月多発肝細胞癌に対してTACEを行うも効果なく、2009年9月肝動脈内リザーバー留置後HAICを開始した。HAICは合併症のため継続困難となりソラフェニブが開始された。2009年12月には大腿骨転移が出現し、放射線治療39Gy施行した。その後肝内病変悪化のためソラフェニブ中止され、HAIC目的に当院紹介入院となった。左上腕から特殊リザーバーを留置しNew FP動注開始した。PRは得られたがCRには至らずHAIC継続した。HAICはMPT、EPI+MMC、2011年8月からはCDDP+S1へと腫瘍マーカーが上昇する毎に変更した。2011年8月、CTでは肝S7に急速に増大する結節と肝全体に多発する肝内転移病変がみられ、リピオドールの集積は乏しかった。腫瘍マーカーは、DCP:23600mAU/mL、AFP:904ng/mLから2011年11月にはDCP:196000mAU/mL、AFP:2557ng/mLと急上昇し、血管障害もみられてきたこともあり、MPTの肝動注+ソラフェニブと変更した。2011年12月のCTではリピオドール集積は良好で腫瘍縮小傾向がみられ、2012年2月DCP:913mAU/mL、AFP:130ng/mLまで低下した。【まとめ】MPTは肝細胞癌に対して肝動注が認められた抗癌剤ではあるが、TACEに用いた場合、効果に乏しいという報告もみられる。ソラフェニブは進行肝細胞癌に対して標準治療とされているが、肝内病変に対しては十分な治療効果が得られないことも経験される。今回MPTとソラフェニブを併用することにより効果が得られた難治性肝細胞癌症例を経験した。
索引用語 多発肝細胞癌, 肝動注化学療法